人魚姫とワルツをなぜか彼女が、泡になって、消えてしまいそうに感じた。
そう思ったら急に不安だとか焦燥だとかが襲ってきて、気付けば七海の手首を掴んでいた。
「え、スパナ?」
「……」
「どうしたの」
きょとんとする七海が可愛い。
ウチの顔をジッと見上げてくる。
あ、この角度凄くいい。
しばらくこのままで七海を見ていたいと思ったけど、だんだん怪訝になってきたからやめとく。
「スパナー?」
「…七海、今日どこかに行くの禁止」
「えええっ何で!?アイリスと買い物に行こうと思ってたのに…」
「上司命令」
「職権濫用!」
しおしおと項垂れる七海。
それが可愛くてこの前「モスカみたい」と呟くと、本気で怒られた。
ウチ、良い意味で言ったのに。
「まぁ、いいや。スパナと居られるなら、それで」
「!」
不覚。キュンときた。
はにかんで笑う七海がどうしようもなく愛しい。
ウチ、七海と居るとおかしくなるらしい。
心拍数がはやくなって、どこか障害が出てるのかも。
「七海、こっち来て」
「え?…きゃ!?」
グッと引っ張って、倒れ込んできた七海を受け止める。
「可愛い」
「ちょっ、スパナ、その、」
「七海温かい」
「きゃー!」
さわさわと肌を撫でれば擽ったそうに笑う反応が気に入り、ただただ首や鎖骨や頬を撫でる。
「も、やめてよ、あはは、何してるのよ」
「整備」
「ばかっ、もー…えいっ」
首に腕を回され、ぎゅうっと抱き締められる。
急なことだったから後ろに倒れそうになったけど、持ちこたえた。
「私、ここに居るよ。どこにも行かないよ」
「分かってる」
そう言って、軽く七海に口付ければ、顔を赤く染めて笑った。
ウチは、あんたに夢中になりすぎている。
「好きだよ、スパナ」
「愛してる、七海」
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安心と安定の低クオリティーをお届け。
ダストのページを作ろうかと思っている今日この頃です。
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