綿菓子のように甘い君。「いやぁーーーっ!!!」
「どうしたんだい七海!!?」
厨房から爆音と共に聞こえた叫び声に反応して、自室から飛び出す。
「大丈夫!?」
立ち込める煙。
七海は噎せつつも、へらりと苦笑いをして現れる。
…はぁ。またこれか。
「また失敗したの?」
フライパン片手に笑う
僕の、彼女。
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「毎度のことごめんね。」
「まぁ、七海に怪我がなければそれでいいんだけどさ…。」
口を尖らせて炭で黒くなった床を拭く。
「ありがとう、正ちゃん。」
優しいね、と言って微笑む彼女。
僕はこの表情に弱い。
「……っ、早く終わらせよう。」
ほら、また何も言えなくなる。
本当は、危ないことはしないで、って言いたいのに。
「次こそ、正ちゃんの舌を唸らせる料理を作るからねっ!」
でも、君が笑うから。
だから僕はずっと見守りたくなるんだ。
矛盾している、僕の気持ち。
「七海」
僕は触れるだけの優しいキスをした。
壊さないように、そっと。
「ごちそうさま」
紅潮する頬も、
真っ直ぐ射抜く丸い瞳も
全てが愛しい。
掴んだら消えてしまいそうで、
ふわふわと優しい。
まるで、
綿菓子のように甘い君。****
正ちゃん熱が復活してとてもみなぎってるので即席正ちゃん。
リハビリです。
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