綿菓子のように甘い君。


「いやぁーーーっ!!!」

「どうしたんだい七海!!?」

厨房から爆音と共に聞こえた叫び声に反応して、自室から飛び出す。

「大丈夫!?」

立ち込める煙。
七海は噎せつつも、へらりと苦笑いをして現れる。


…はぁ。またこれか。

「また失敗したの?」

フライパン片手に笑う
僕の、彼女。

****

「毎度のことごめんね。」

「まぁ、七海に怪我がなければそれでいいんだけどさ…。」

口を尖らせて炭で黒くなった床を拭く。


「ありがとう、正ちゃん。」


優しいね、と言って微笑む彼女。
僕はこの表情に弱い。


「……っ、早く終わらせよう。」

ほら、また何も言えなくなる。
本当は、危ないことはしないで、って言いたいのに。

「次こそ、正ちゃんの舌を唸らせる料理を作るからねっ!」

でも、君が笑うから。
だから僕はずっと見守りたくなるんだ。

矛盾している、僕の気持ち。

「七海」

僕は触れるだけの優しいキスをした。
壊さないように、そっと。

「ごちそうさま」

紅潮する頬も、
真っ直ぐ射抜く丸い瞳も

全てが愛しい。

掴んだら消えてしまいそうで、
ふわふわと優しい。

まるで、


綿菓子のように甘い君。

****
正ちゃん熱が復活してとてもみなぎってるので即席正ちゃん。
リハビリです。


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