Baciami!!


『ねぇ、正一〜?』

「…」

『お〜い』

「…」

反応なし。
それを確認するとあたしは深い深い溜め息をつく。
昨日は夜遅くまでなんかいろいろやってたからなぁ。
眠っている正一の眼鏡を外してあげる。

『今日で2年目なのに…』

正一の前髪を撫でながら呟く。
そう、今日で付き合って2年目。
もともと仕事で忙しい正一が記念日だとかを祝ってくれるとは思ってはいない。
思ってないけど…。

『やっぱり寂しいわけよ!!』

七海は今、スパナの工房にいた。
スパナ特製のキャンディをガリガリ砕きながら不満を口にする。

「…で、なんでウチの所に来るんだ?」

『いいじゃん、なんかここ落ち着くんだもん』

日本人の私は日本のものがたくさんあるスパナの工房がお気に入り。
それにスパナは正一と仲がいいし、ボーッとしているようでちゃんと話は聞いてくれるから。
正一のことで悩んだときはいつもここに来る。

『正一ってばいつもいつも仕事ばっかりだから…』

すっごく寂しい。
私はその言葉を飲み込んだ。
このメローネ基地のトップである正一は前以上に重要で、たくさんの仕事を任された。
正一だってストレスを感じて、胃の調子が悪い。そこに彼女の私が重荷になるのは嫌だ。

『はぁ…』

本日二度目の深い深い溜め息。
スパナは色恋のことは分かんないだろうしなぁ。
モスカの点検に没頭しているスパナを横目に見ながらまた、溜め息をつく。

「なぁ〜に、溜め息ついちゃってるの?」

『え?』

スパナの工房にあるモニターに白い髪の青年が映る。

「ハロー、七海チャン♪」

『白蘭さん!!』

ミルフィオーレファミリーの若きボス、白蘭さん。
正一と付き合うきっかけをくれた人。

「溜め息なんかついちゃって、正チャンと何かあったでしょ」

『!!』

「図星みたいだね〜♪」

クスクス笑いながら、マシュマロを食べている白蘭さん。甘党な所は昔から変わらない。

「正チャンは奥手だし臆病だからね♪」

…確かに白蘭さんの言葉は間違っていないが人の彼氏の悪口を言うのはどうかと思う。

「まぁまぁ、七海チャン怒らないの♪」

『モニターごしに心読まないでください』

つれないなぁ、と残念そうな声をあげるが顔は笑っている。
こんな軽い人でも正一のことよく知ってる。そしてアドバイスもけっこう的確だったりする。
…時々、楽しんでるようにも見えるが。

「とりあえず、Baciamiって正チャンに言ってみなよ」

『…バチャーミ?』

聞き慣れない単語に首を傾げる。
イタリア語なのだろうか…?

『それってどういう意味ですか?』

「それは言ってからのお楽しみ♪」

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『ねぇ、正一』

「ん〜?」

部屋に戻ると正一は既に起きていた。
私はさっき白蘭さんに言われたことを言ってみた。

『バチャーミ』

「………え?///」

『聞こえなかった?バ…「き、聞こえたよ!!///」じゃあ何?』

「なっ!!///何って…///その…///」

顔を真っ赤にして焦りはじめる正一。
意味を知らない私はそんなに焦ることなんだろうかと首を傾げていると、正一は突然顔を近づけたかと思うと私に…キスをした。

Baciami!!

『な!!///何よ!!いきなり!!///』

「何って…///七海がキスしてって言ったんだろ!!?///」

『…はぁ!!?///』


                          END




〜あとがき〜
 
皆様お久しぶりです、愛です。
ちゃんと生きてますよー(笑)
 
今回は早い話白蘭さんにハメられたお話です(笑)
 
そして、もうお分かりかと思いますが『Baciami』と言うのはイタリア語で『キスして!』という意味です。
 
中途半端に終わったので続き書こうかな…。
 
リクエスト、意見、苦情、コメント等お待ちしております。




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