ハッピー・ハッピー・バースデー


「ハッピーバースデー!誕生日おめでとう正ちゃーん!」


がちゃがちゃと鍵を手早く開けて、ずんずんと進む。
部屋に乗り込み、ベッドで眠る正ちゃんに乗っかった。
不法侵入?気にしない、気にしない!だって正ちゃんでしょ?←

今日は正ちゃんの誕生日。お互いに忙しくてなかなか連絡が取れなかったから、今日くらいサプライズみたいなね!
ケーキを買ってきました!私なかなかやりおる!

時計は午後11時半を指していて、部屋は書類で散乱。
なんて有り様、と思いながらも「正ちゃーん」と呼びながらぺちぺちと頬を叩いた。
うん、我ながら鬱陶しい。


「…んー…七海…?」

「誕生日おめでとう!ごめんね、こんな時間になっちゃったけど」

「んんん…」


唸りながら眉を潜める正ちゃん。
目を薄く開いて、「何でここに…」と呟いた。


「誕生日祝いだよ!さ、起きよ、一緒にケーキ食べよー」

「…昨日から寝てなくて…眠い…よ」

「折角の誕生日だし、ちょっとだけ、お祝いさせて?」

「う……分かった」


至極眠たそうにゆっくり起き上がる正ちゃんの上から退こうとすると、私の胸に正ちゃんがくたりともたれ掛かってきた。
もたれ掛かるというより、埋めるって感じ。


「〜〜〜っ!」


い、今すぐ叫びたい!何この正ちゃん!
めっちゃ可愛い…も、萌えー!

とにかく、急な展開に頭が追い付かなくて、あやすようにして背中を撫でながら声をかけた。
だ、だいぶ母性本能働いてる…


「ハッピーバースデー正ちゃん起きてー」

「分かった…」

「と言いつつ動かないよね貴方」

「起きる、起きるさ…」

「と言いつつ(略)」


うだうだする正ちゃんとの会話を長々としていれば、時計の長針が9を指していることに気が付いた。


「しょ、正ちゃん大変!あと15分しかないよ!」

「それは困ったね…」


今にも崩れ落ちてしまいそうな程無気力な正ちゃんを見て、疲れきって眠いときに起こすのは可哀想だったかなーと今更に思えてくる。
ほんとに今更なんだけどね!
うーん…仕方ないなあ、帰ってまた明日声をかけにこようかな。


「疲れてるときにごめんね?じゃあまた明日来るね」


そう言って再び立ち上がろうとすると、ぐいっと引っ張られる。

「っうぁ!?」

いきなりでバランスを崩し、腕に閉じ込められるような形で、正ちゃんとベッドへダイブした。
ちょ…えっ、うぁああああ!?


「しょしょしょ正ちゃん!?」

何で、何でこうなった!?

正ちゃんの吐息が熱くて、私の心拍数もどんどん速くなる。
今にも顔からマグマが出そう!ってくらいとにかく顔が熱い。


「……七海…」

「っ!正ちゃ…」


耳元で囁かれた、掠れた声。
思わず、息を呑んだ。な、何この色気…。


「正ちゃん、私帰るから、その、離して?」

「…………」

「正ちゃん?」

「……帰らなくて、いいから」


絶対今一瞬寝てたな。
なんて思うと同時に、正ちゃんが私の耳に顔を近付け、触れるだけのキスをする。


「七海、今年も、これからも…よろしく」


何というか、正ちゃんらしいなぁ。笑いが込み上げて、「誕生日おめでとう」と告げる。

午前0時00分。
満足そうに、寝息を立て眠る正ちゃんの腕に抱かれ、私も眠りに落ちた。


ハッピー・ハッピー・バースデー


「…昨日、僕変なことしてない?」
「覚えてないの?」
「いや、軽くは覚えてるけどさ。…大丈夫だったかい?」
「さーねぇ、覚えてないなら、気にしない気にしない♪」
「えっ何かした!?」
「嘘だよ」
「あーもう七海ーっ」


*****
誕生日じゃないのに誕生日ネタをする由詩ですこんにちは(・∀・)ノ
ほのぼのとしてて すうぃーとな正ちゃんを誰かください。



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