生まれて、これからも、


※10年後


私たちがまだ細胞の頃。神様から、いのちをいただいた頃から、私たちは繋がっていた。そう思える程、私たちはよく似ていた。

歳も境遇もうまれもちがう私たちは、ちがう場所に立っていたけれど、いつだって同じ方向を向いていて。
この世界にふたつのいのち、ひとつのいのちが誕生し、やがて出会い、恋に落ちて、共に同じ空を見上げる。
それが“幸せなこと”と神様から習っていたのかもしれない。

いつの日か私たちは、惹かれるように、隣り合わせに立っていた。



息をするかのように、それは自然と口から漏れた。


「生きる意味ってなんだろう。」

「生きる、意味?」

「そう。私がここにいて、フゥ太と並んでご飯を食べて、寝て、呼吸をして、生きる意味。」


当然のようで、当然じゃない。
何のためにうまれてきたのだろう。星を見上げて、そう思うことが何度もあった。
何億、何万のいのちが誕生、そして消滅していく。短く儚いいのちだというのに、私たちは目先のモノに手を伸ばすので精一杯で。何をするためにうまれてきたんだろう。人生にタイトルをつけるとしたら、何とつけれるのか。

真っ直ぐ見つめて答えを問えば、フゥ太は首を傾げて、ふわりと柔らかく笑う。


「…難しいね」
「ね、」

「七海姉は、今、楽しい?」

「うん、楽しいよ」
「じゃあそれでいいんじゃないかな」
「え?」

「人と関わることで、“生きる”を知って、良いことも悪いことも、互いに影響し合う。誰かの記憶に残る。
そうやって生きることで、それぞれ何かしら幸せを見付けるんだ。

生きること自体が、意味なんだと思うよ」

「フゥ太…分かんないよ…」

「あはは、変なこと言ったね、ごめん。」


そうやって、また笑うフゥ太。
背が高くなって、筋肉質になって、頼り甲斐のあるこの男の子は一体どこまで成長していくのだろう。変わりゆく姿が、私の視界に映る。


「ねぇ七海姉、僕はね、」
「?」
「七海姉の中にいっぱい僕を残したい。七海姉は、僕と出会って、何か変わった?」


フゥ太が私の頬に手を添える。
丁寧に撫でるそれがくすぐったい。


「変わったも何も…フゥ太が全てだよ」


そう伝えて頬に添えられた手を掴めば、フゥ太がきょとんとする。
しだいに顔を染め、はにかんで笑った。


「敵わないなぁ、七海姉には。」

「えへへ」

「…好きだよ、七海姉。」


ぎゅう、と抱き締められてフゥ太の体温が伝わる。
心拍数が直接私に伝わってきて、心地がよい。


「年齢差なんて、埋めるから。気にならなくするから。
七海姉。ずっと、そばにいてくれる?」

「もちろん。」

「木が老いて、僕もおじいさんになって、手がしわだらけになって、元気をなくしても、隣に並ばせてください」


優しいキスが落ちると共に、温かな沈黙へと沈む。

私たちはよく似ていた。
生きることに欠けてはならない存在で、恋に落ち、共に同じ空を見上げる。

それが、 一つの終わりと二つの始まりで、かけがえのないもので。

生きる意味を教えてくれるあなたに、


生まれて、これからも、


****
お借りしました!
joy

10年後フゥ太はなんか何も考えずに書き始めると、すらすらと進むのでリハビリ話として書いちゃいます。
しっかしこのよく分からなさをどう対処すればいいんでしょうね。由詩も分かりません(*´∀`)←
フゥ太夢はぐちゃっと文章を並べる話が好きです。



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