雨の日、君に恋をする


『あっ…雨…』

委員会の仕事で残っていたある日。
ふと窓に目を向けると少しずつ降り始める雨。

『私、傘持ってないじゃん!!』

朝、傘を持ってかなくて大丈夫と言っていた母を恨む。
でも、委員会の仕事まだ残ってるし…。

『終わる頃には止むよね』

そんな軽い気持ちで仕事にとりかかる。


20分後…

『まじですか…』

さっきよりも強くなっている雨。

『どーしよー…』

私はしばらく雨を見ていた。

「白石?」

ん? この声…

『山本!!』

声の主は山本だった。
入学して一番最初の席がとなりだったため仲が良かった。

「どうしたんだ? 帰んねぇの?」
『傘忘れちゃってさ…これから借りに行こうかな… 山本は?』
「ワーク提出にきたのな♪」
『そっか♪ じゃあまたね♪』
「おう!」

山本の姿が見えなくなってから、ふぅとため息をつく。

『しょーがない…走るか…』

これから職員室に戻るなんてまっぴらだ!! なんて意味不明な言い訳をして、タオルを頭にかぶる。

『よし!』

私は走り出した。雨が頬に当たって痛い。
途中で雨宿りできるとこあるかな…なんて考えて校門を通り抜けた時、人影が見えた。
私はその人を見て、足を止めた。
どうしてここにいるんだろ…。

急に立ち止まった私が雨に濡れないように傘を向けてくれるその人。

「大丈夫か?」

心配そうに私の顔をのぞきこむのは…

『山本…』

先に帰ったはずの山本だった。

『どうして…?』
「ちょっと気になってさ…」

借りるんじゃなかったのか? って優しくきいてくる。

『えっと…』

職員室に行くのが嫌だったなんて言えるはずもなく口ごもる。

「まあ いいや! 傘貸してやるよ!」

無理にきかないなんていいやつだなぁ…山本…
それに傘まで…ん?

『えぇ!? そんなの悪いよ!!』
「いいっていいって! 俺走って帰るし、明日返してくれればいいからさ!」

そして傘を私に持たせると私の返事もきかず走って行ってしまった。

私はその日 山本のことしか考えられなかった。



雨の日、君に恋をする


〜あとがき〜
どーも愛です。
このお話は私の経験を書いたものです。
そして傘を貸してくれた彼も山本君で野球少年でした。
名前は違うもののすごい偶然ですよね!!

ここまで読んでくださってありがとうございました。


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