イジワル王子の優しさ


いつもイジワルで、ワガママ…
でもすっごく優しい。

そんな貴方に恋したの。


「シシッ♪ おい七海。任務行くから早くしろよー」

独特な笑い方をする彼はベルフェゴール。
長い名前なのでみんなは「ベル」と呼んでいる。
ブロンドの髪に、頭にはティアラ、スラッとした体。
容姿は完ペキなのに、問題は性格だ。

「遅い」
『わっ!!』

飛んできた鋭利な物体を間一髪のところでよける。
ベルが武器として使うナイフである。

『ちょっ…ベル!! 危ないじゃん!!』
「シシシッ♪ 別にいいじゃん、だってオレ王子だもん♪」

ベルは楽しそうにお決まりのセリフを言うと 行くぞと言ってスタスタと歩き始めた。
私はそれをあわてて追いかけた。

今日の任務はAランク。あるファミリーのボスがターゲットだった。
比較的簡単な任務だが、油断はできない。

「ターゲットの部屋はここか… 裏から行こうぜ」
『そうだね」

私達は裏から侵入し、ターゲットの部屋までたどりつく。

「じゃあ合図したら一斉にゴーな?」
『りょーかい♪』
「じゃあいくぜ? 3、2、1… ゴー!」

大きな音をたて、ドアを開けるとターゲットを確認する。

「だ、誰だ!」

ターゲットが銃を構えるが…時既に遅し。

「バイビー♪」

ベルが無数のナイフを一斉に放つ。
…悔しいけど…すごくカッコイイ。
見惚れていると銃声が響き渡った。

『っ…』

銃声と同時に横腹に燃えるような痛み。
しまったと思った時、私はその場に倒れた。

「七海!!!」

気が遠くなる中、私を呼ぶベルの声が聞こえた気がしたが、私は意識を手放した。

夢をみた。
すっごくあったかい。誰かに抱きしめられているような…。
すごく安心する。

目を覚ますと目に入ったのは白い天井だった。
体を起こそうとすると足に激痛が走った。
そうだ…私、撃たれて…。
ふと手のあたりにぬくもりを感じ、目を向けると…

『ベル…?』

私の手を握ったまま、ベッドに突っ伏し、寝ているベルがいた。
時間を見ると午前3時。
任務は昼の3時頃だったから、12時間くらい寝ていたことになる。

「七海ちゃん…?」
『ルッスーリア…?』
「七海ちゃん、起きたのね…よかったわ…」

ホッとしたように息をはく。

「心配したのよ? 二日間も眠っていたから…」
『ふ、二日!? 半日くらいかと思ってた…』
「ベルちゃん…ずっと七海ちゃんに付きっきりだったのよ?」
『ベルが…!?』
「ええ。七海ちゃんが寝ている間もずっと貴女のそばを離れなかったのよ?」
『……』
「七海ちゃん…もう寝なさい? 傷が痛んだりしたら呼ぶのよ?」

おやすみなさいとルッスーリアは部屋を出て行った。
私は驚きのあまり声も出なかった。
あのベルが…?
どうして私なんかのために…?

「七海…?」

はっと我に返ると目をこすりながら、私を見つめるベルがいた。

『ベル…』

すると急にベルは私に抱きついてきた。

『ちょっベル…「ざけんな」え…?』
「マジふざけんなよ…何王子の許可なしに消えようとしてるわけ?」

声が震えてる…
ずっと一緒にやってきたけど、ベルが私の前で… 誰かの前で涙を見せるのは初めてだ。

『ごめん…』
「マジ…死ぬかと思ったし…」

私はベルを抱きしめるともう一度つぶやいた。

『ごめんね…』
「これからお前 オレから離れんの禁止な」

ぎゅっと私を抱きしめる腕に力をこめると

「ぜってー離さねぇ…」

とつぶやいた。
しばらくするとベルはいつものようにシシッと笑った。

「ってことでお前は今日からオレの女な♪」
『なっ/// なんでそうなるのよ!!//』
「いいじゃん♪ だってオレ王子だもん♪」

そして私の額にキスをして言った。

「ヨロシクな、オレのオヒメサマ♪」


END

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王子夢です。
書きながら自分でキャーキャー言ってた愛さんです(笑)


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