猫化大作戦


『珍しい弾だぞ。俺も初めて撃つ弾だ。
七海には丁度いいかもな』

『死ぬ気で試せ』

ズガァン、という鈍い音が耳に突き刺さった。



8時5分。
ジリジリと鳴り響く目覚ましを止める。
目をこすって、大きく欠伸。

「ふぁ…あ。変な夢見たなぁ…リボーンくんの夢見ちゃった。
…あ、そうだ。今日ツナたちと遊びに行くんだっけ!」

私服に着替えようとパジャマを脱ぎかけたところで、気になった。

「うにゃぁ…?」

お尻に、白いフサフサが見える。

「何これ?」

何気なく、鏡を見ると。

頭には白い耳。
お尻にはひょろりと伸びた尻尾。

明らかに私のじゃないそれ。

これは……


「う、うにゃぁあぁあぁあっ!?」


白石七海、14歳。
なぜか、猫になってしまいました。


猫化大作戦


「な、何これ!?」

おそるおそる触ってみると、ビクッと体が跳ねる。

「にゃ……」

取り合えず何とかしなきゃいけない。
どうしよう、どうしようどうしよう。

…これ、本当に生えてるものなのかなぁ。
気になって確認してみたんだけど、やっぱり生えてた。

このままじゃ動物病院送り、あるいは海外に売り飛ばされてモルモットとかにもされちゃうんだ…………
ああああ、考えるだけでも嫌!!

悪い方、悪い方へと思考が進んでいって、うんうん唸ってうずくまる。
そんな時、ガチャリ、という音と共に

「七海ちゃん何今の叫び声…って何でうずくまってるの?」

救世主が現れた。

「つ、ツナ! ツナぁぁぁあ!」

嬉しくなって思いっきりツナに飛び付く。

「うわぁっ!? ちょ、ちょ…ちょっと!? …って何その耳ー!? 尻尾もー!?」
「耳が4つもあるなんて私どうしたら!?」
「そこー!?」

何が何だか分からないテンションのまま、ツナに朝のことを話す。
ツナはずっと「えぇ!?」「んなー!?」とか奇声を発していた。

「…うわぁ、生々しいというか、なんというか…。本物だ」

まじまじと耳やら尻尾やらを見るツナ。
ちょっと恥ずかしい…

「はぁ…半猫人として生きていくしかないのかな? やっぱり動物病院に行ってきた方がいい?」
「せ、切実だね……」
「うにゃ…」

溜め息を吐いて、ツナに寄り掛かる。
ツナは苦笑いをして頭をよしよしと撫でた。

「へっ?」
「え? …っごごごめん!! 何だかペットみたいで…」
「や、気持ちいいからこのままでいいよ」
「そ…そっか」

髪がツナの指を通り抜けていく。
もう京子ちゃんたちとケーキ食べに行けないなぁ、だとか、私は犬派なんだけど、だとかぐるぐると色んなことを考えていた。

「何で、生えてきたんだろ…?」

「うーん…寝ている間に変わったことがあった、とか心当たりない?」

「特に。………あ!! でも多分夢なんだけど。
リボーンくんのような赤ん坊がね、変なこと言ってて。
確か…えーと、『死ぬ気で試せ』だとか言っていた、かなぁ…」

「あ、アイツ!!」

ぼんやりとそんなことがあったような気がする。
それで私、頭に弾丸を撃ち込まれたんだっけ。

「きっとそれ夢じゃないよ!!
こんなことが起こるなんてアイツがなんかしたに決まってる!!」
「リボーンくんが?」

でも確かに撃たれたときの感覚が、妙にリアルだった。
ほ、本当に起こっていたなんて…

「…多分それ死ぬ気弾だから、治るとは思うけど…。七海ちゃんにまでそんなこと!!」
「な、治る!? 本当!?」
「う…うん…多分」

「よ、良かったぁぁあ…。あーもう……はぁぁぁあ…」

安心して力が抜ける。
そうと分かれば、煩わしかった耳も尻尾も面白く思えてきた。

「俺からもリボーンによく言っておくから。
ごめん、七海ちゃん」

「ううん。…ツナ、ありがとうっ」

ツナの膝の上に乗っかって、ぎゅうっと抱き締める。

「え、ちょ、なっ…七海ちゃんー!?」
「うにゃー♪」

顔を真っ赤にしているツナの首元に匂いを嗅ぐかのように顔を埋めれば、「…俺の気持ちも知らないで…」とかあまり聞き取れなかったけど、ブツブツ何かを言っていた。
ツナにしばらくすりすりと甘えていた。

「そりゃ俺だって不謹慎だと思って我慢してたけどさ…」
「?」

「…こんなの、七海ちゃんが可愛すぎるせいだ…
もう知らないからね」

反転。
ぐいっと強引に顎を持ち上げられて、唇が重なる。
ビックリして目を見開く。

「にゃ…」

唇が離れると、膝から飛び退いてツナから距離をとった。
いつもはこんなことしないのに。
頭がごちゃごちゃしてショートしそうになる。

「ツナ……!?」

「ごめん、七海ちゃん」

俯くツナの表情が見えない。
声が震えている。

「もう止められないと思うんだよね」

ニッコリと笑うツナ。

「あれ、何で逃げるの?」

その変わりように愕然とする。
く、黒ツナが覚醒した…!!

「いや、あの、その」

焦って後退りをすると、壁に背が当たる。

やばい。

本能で分かった。
逃げなければいけない、と。


「いっぱい遊んであげるね、七海ちゃん」

舌なめずりをする彼の背後に真っ黒な何かが見えた。

「う、うにゃぁあぁあぁあっ!!!」



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展開ぐだぐだ\(^o^)/
書いていくうちに、書こうと思っていたストーリーとかけ離れていく(笑

黒くなってしまった。黒ツナ好きだなぁ。

居候設定です。


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