耳元で囁かれた甘い毒


「にょ〜ん」

ちょっと変わった猫を見つけた。
猫好きな私はこの公園にいる猫はほとんど知ってるつもりだったけどその子は初めて見た。

『君、どこの猫ちゃん??』

おいで、と声をかけてみる。
するとにょ〜ん、と鳴きながら私の足にスリスリと体をよせてきた。

『か…可愛い!!!///』

なにこの猫ちゃん!!!
めっちゃ可愛い!!!
最近の猫ちゃんは大体は警戒して近寄って来ないってのにこの子はなんて可愛いんだ!!!
首輪がついてないってことはもしかして捨て猫かな??

『こんなに可愛い子を捨てるなんて人間もひどいねぇ』

って私も人間じゃん!!、と自分でツッコミを入れる。
それにしても変わった猫ちゃんだなぁ、とその子を撫でながら思う。
大きな瞳は燃えるような赤、全体的に黄色っぽくて猫って言うよりチーターとかそんな感じ。

「こんなとこにいたのか」

聞き覚えのある声に振り向くと彼氏の獄寺隼人がいた。
ところが私の膝の上にいる猫ちゃんに気付くと顔を青くする。

『どうしたの??猫…』

苦手だっけ??っと聞こうとした瞬間。

「フシャーッ!!!」

私の膝の上で大人しかった猫ちゃんが隼人に飛びかかる。
そして散々隼人を引っ掻いた後私の膝の上でまた丸くなってしまった。

「いってて…瓜のやろぉ…」

瓜…??
瓜って…この子の名前??
もしかしてこの子の飼い主って…

『隼人…??』

「あぁ??」

いやいやそんなはずないよ。
だって隼人が猫飼ってるわけないし、だってあの隼人だよ!?
不器用で目付き悪くて短気で口が悪くてツナラブで…

「悪かったなっ…!!てか俺は十代目を敬愛しているだけだ!!」

『え!!?なんで隼人ってば私の思ってること分かったの!!?もしかしてエスパー!!?』

「全部口に出してただろうが!!」

『ってかさっき引っ掻かれてたけど大丈夫??』

「散々喋っておいて今さらだな…」

『瓜ってこの子の名前??瓜ちゃんの飼い主は隼人なの??』

「一気に質問すんな!!」

ったく…と隼人は呆れ顔。
それから隼人と瓜ちゃんについて聞いた。
飼ってる理由とかいろいろあやふやなとこはあったけど、とりあえず隼人と瓜ちゃんはかなり仲が悪いらしい。

『なんで仲が悪いの??』

「知るかよ、瓜に聞け」

『なんでちょっと不機嫌気味なの??』

「知るか」

さっきからなんか不機嫌な隼人。
瓜ちゃんに引っ掻かれたことがそんなに嫌だったのだろうか??

「にょ〜ん♪」

瓜ちゃんが構ってほしいとばかりに甘えてくる。
そっと頭を撫でてあげると気持ち良さそうに目を閉じる。

『こんなに可愛いのに隼人はどうして仲良くできないんだろうねぇ??』

「知るか」

『さっきからそれしか言ってないよ??』

「にゃお!!」

『でもね、瓜ちゃんも瓜ちゃんだよ』

「にゃ??」

『隼人はね、確かに不器用で目付き悪くて短気で口が悪くてツナラブで…』

「ケッ!!悪かったな!!」

『でもね、すっごく頭いいしかっこいいし優しいんだよ??』

「なっ!!?///」

『私が寂しいって思うときにぎゅってしてくれるしね、優しくキスもしてくれるの』

「…っ!!///」

『だからね、私隼人のこと大好きなんだよ』

隼人に笑いかけながらそう言うと唇に温かいものが触れた。

「よくそんな恥ずかしいこと言えるよな…//」

隼人は耳まで真っ赤になっていた。
私は本当のことを言っただけなのになぁ。
そんなことを思っているとぐいっと隼人に抱き寄せられて耳元で囁かれる。

「俺はお前のことを愛してる…///」

あぁ、そんなの反則だ…。
まるで毒のように私の体を熱くさせる。
貴方に赤い顔を見せるのはなんだか悔しいから、今度は私からキスをしてあげる。
そしたら貴方はまた真っ赤になるんでしょうね。

甘い、けれど毒

『そういえば隼人、さっきなんで不機嫌だったの??』

「え…あー…き、気にすんなよ(七海が瓜ばっか構ってたから拗ねてたなんて言えねぇ…)」

『瓜ちゃんも急に静かになったし…』

「ふぁ…にゃ〜ん」

『あっ欠伸してる!!可愛い!!』

「(なんかムカつく…!!)」


〜あとがき〜

なんじゃこりゃ(^_^;
ヒロインちゃんの名前が一回しか出てこないことに書き終わってから気づいた愛です

題名とお話が合ってないのは気にしない←おい!!!

瓜ちゃんは欠伸しながら「今回はこの子(ヒロインちゃん)を譲ってあげるわよ」みたいなこと思ってればいい(笑)

題名は雲の空耳と独り言+α様より



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