欲しいのは君


4月24日。
つまり今日は山本武君の誕生日。
山本君といえば運動神経バツグンで 誰にでも優しくて…と言い出せばきりがない。
そしてファンクラブができるくらいモテるのだ。
だから彼の誕生日なんて日は大変だ。

「キャー!!! 山本く〜ん!!!」

もちろん、入学式に山本君に一目惚れした私だって「おめでとう」の一言が言えたらどんなにいいだろう…。
せっかく2年生も同じクラスになれたのに会話という会話をしたことがない…。

『はぁ…』

手の中の小さな箱をカバンの中にしまう。
渡せるわけない…。私なんて…。

「白石さん、おはよう」

『えっ…? あ、ツナ君に獄寺君…おはよう』

「よぉ…」

「山本…すごいよね…」

どうやら、山本君のファンの子にもみくちゃにされたようだ。朝なのに疲れ果てた顔をしている。

「大丈夫ですか!? 10代目!!あんの野球バカ…!!」

「だ…大丈夫だよ… わっ!!」

『ツナ君!!』

転んだツナ君を受け止めようとして前に出る。
足と背中に鈍い痛みを感じ、目を開くと 目の前にツナ君の顔があった。

「ご、ごめん!!! 大丈夫!? 白石さん!?」

『あっ、うん…///』

少しでも動いたら唇同士がぶつかるほどの距離に思わず顔が赤くなる。
と、その時

「派手にコケたなぁ、ツナ、大丈夫か??」

ツナ君に手を差しのべるのは…

『山本君…』

「あれ? 白石、どうしたんだ?」

「オレが転んで、白石さんが支えようとしてくれたんだけど…ごめんね、白石さん」

『あっうん。大丈夫だよ』

私は笑ってみせる。
だってツナ君のおかげで山本君と話せたんだもん。
ツナ君に感謝だよ。

『よっと… 痛っ!!』

「白石さん!? 足!!」

立ち上がろうとすると足に痛みが走った。
それと同じにツナ君が声を上げる。
足に痣のような跡があった。

「こりゃ、なんかの拍子にひねったな」

山本君が私の足を見て言う。

「大変!! 保健室行かなきゃ!!」

『だ、大丈夫だよ!! 心配しなくて…』

立とうとするけど、足が痛んでうまく動かない。

「その足じゃ多分無理なのな」

『えっ…?』

ふと体が軽くなる。
膝の裏と背中に温かいぬくもり。
女子の黄色い悲鳴。

「保健室行こうぜ!!」


俗に言うお姫様抱っこ。
私は驚きのあまり、何も言えずに保健室につれて行かれた。

-------------------------------

「よし!! これで大丈夫なのな♪」

『あ、ありがとう…////』

気にすんなってと笑う山本君。
保健室に先生がいなかったため、山本君が手当てをしてくれた。
すっごく嬉しいけど、申し訳ないと思う。

『なんかごめんね…。今日、誕生日なのに…』

すると山本君は驚いたように目を開くと優しく微笑んだ。

「覚えててくれたのか?」

『うん…おめでとう』

「サンキューなのな♪」

『ごめんね、プレゼント用意したんだけど…』

教室に置いてきちゃって…と言おうとしたけど…
言えなかった。
気づくと目の前に山本君の顔。
リップ音とともに離れる唇。
キスをされたと認識するのに10秒。

「俺はプレゼントより…」

そう言いかけて、山本君は私を抱き寄せ、私の耳元で囁く。

お前が欲しい

私が頷くと山本君は私にキスの雨を降らせた。


END




〜あとがき〜

山本武Buon Compleanno!!

ちなみに4月24日は我らが王子、ベル様の声優さん藤原さんの誕生日でもあり、愛は幸せいっぱいですww

少々(いやかなり)グダグダではありますが読んでくださりありがとうございました!!!

 愛


prev|next

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -