甘いのは貴方


「おはよ、七海チャン♪」

振り返ると白蘭様と入江様がいた。

『おはようございます、白蘭様、入江様』

「七海チャン、今日も可愛いね♪」

『あ、ありがとうございます…///』

「照れてるのも可愛いなぁ♪」

白蘭様はいつもこんな感じ。
嬉しいけれど、正直困る。
入江様もちょっと困り顔。

「…で、七海さん。書類をちょっと見せてほしいんだけどいいかな?」

『あ、はい。大丈夫です』

私はスパナさんの助手としてこのミルフィオーレにいる。
助手といっても私は主に書類関係の仕事だ。
ちなみにスパナさんは仮眠をとっていて、今はいない。
どうぞと書類を入江様に渡せばありがとうと書類を受け取る。
…気のせいだろうか、入江様の様子がおかしい気が…。

『あの…入江様?顔色が悪いようですが…?』

「あー、ホントだー。正チャン大丈夫ー?」

特に心配した様子もなく、ニコニコと声をかける白蘭様。

「あぁ…、朝から熱っぽくてさ…」

『えぇ!?』

私は自分の額を入江様の額にあてる。

「なぁっ!?///」

「あっいいなぁ、正チャン」

入江様は顔を真っ赤にし、白蘭様は拗ねたような声をあげたが、そんなことは関係ない。ものすごく熱い。

『熱いですよ!!!顔も赤いですし、医務室へ行ったほうがいいですよ!!!』

「正一…??」

『あっ、スパナさん』

「スパナくん、ちょうどよかった。起きたついでに正チャンを医務室に運んであげなよ♪」

なんて白蘭様の一言で入江様とスパナさんは医務室へ。
そして私は仕事に戻る…はずなんだけど…

「ねぇねぇ、七海チャン♪」

さっきから白蘭が話しかけてくる。
入江様がいないからサボる気らしい。

「七海チャンってば!!」

『え…?あっはい。なんでしょう?』

「マシマロいる〜?」

マシュマロじゃないでしょうか?白蘭様?なんて心のなかでツッコミをいれながらも、笑顔で答える。

『はい、いただきます』

「ん、りょ〜かい♪」

すると白蘭様は私の口…ではなく自分の口にマシュマロをいれる。

『あれ?びゃくら…んっ!!』

いきなり引き寄せられ、重なる唇。
驚いて開いた私の口内にマシュマロが入ってくる。
あれ…?今、私キスしてる…?
そんなことを考えているとマシュマロとは違うあたたかいものが入ってきた。

『んんっ!?』

あわてて離れようとするけど、後頭部を手で押さえられていて動けない。
酸欠状態になりながらも、深く甘いキスに酔っていた。
…マシュマロってこんなに甘かったっけ…?
しばらくしてようやく離れた唇を銀の糸がつなぐ。
はぁはぁと肩で息をしていると、抱きしめられた。

『はぁ、びゃ、白蘭様…はぁはぁ///』

「ごめんね…、大丈夫?」

心配そうな顔で私を覗きこむ。

『いきなりなにするんですか!!///』

シュンとした様子でごめんと謝る白蘭様。
ずるいです、そんな顔…。

「七海が可愛くてつい止められなくなっちゃって…」

『からかわないでください!!///』

「ボクはいつだって本気だよ」

白蘭様は私の耳元で囁く。

「ボクは君が好きだよ…」

『っ!!///』

そして白蘭様は私の顔を見ると、いたずらっぽく笑った。

「七海チャン、顔真っ赤〜♪」

『なっ!!//だ、誰のせいですか!!///』

「さぁ、誰のせいだろうね〜♪」

『もう!!///』

私が恥ずかしくて俯くと、白蘭様は私の顎を持ち上げて優しいキスをくれた。

「君の唇は甘いね♪」

クセになりそう、と笑う白蘭様を見て思った。
私が甘いんじゃない。


甘いのは貴方
 
 
君がいけないんだよ?
正チャンにあんなことするから…
嫉妬しちゃうでしょ?
 
 
 
〜あとがき〜
由詩様のリクエストで書かせていただきました!!
白蘭様、カッコイイですよね///
ヒロインちゃんと正ちゃんが額をあわせていたことに嫉妬してる白蘭様が書きたかった!!!
ちゃんと甘くなってるかな…マシマロ王子///
リクエストしてくださった由詩様、ここまで読んでくださった方!!
ありがとうございました!!
 



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