雨が教えてくれたこと


晴れの日もあれば、雨の日だってある。
そんな時は休んでいいんだよ


最近ずっと雨だった。
まるでオレの気持ちを表してるみたいに。

「はぁ…」

今日、何回目か分からないため息がこぼれる。
テストで赤点をとった俺は誰もいない教室で勉強。
部活はないし、すっごくつまんねぇ…っていつもなら思う放課後。
でも今は違う。

『ず〜っと、雨が続けばいいのになぁ』

俺の気持ちを言葉にした女子の声。
教室をふり返るとクラスメートの白石がいた。

『あっ山本君!!』
「よっ! 白石! どうした?」

俺は暗い顔を見せないように笑顔を作った。
すると白石は一瞬 あれ? っていう顔をしたがすぐにいつもの笑顔に戻り、勉強〜?ときいてきた。

「ああ、またテストで赤点とっちまったからな」

俺、今笑えてるかな…

『そっか♪ 分かる〜?』

といって俺のとなりに座る。

「いや、全然。そういう白石はどーした?」
『提出物出しに来ててさ、帰ろっかな〜って思ってたらこっちの方から声がきこえたからさ、誰かいるのかなって思ってさ』

山本君だったんだ〜と白石は無邪気に笑う。

『無理しないで…?』
「えっ…?」
『無理して笑わないで… 今の山本君すっごく悲しそうな目してるよ?』

私でよければ話聞くよ?と白石は微笑む。
なんか分かんないけど…白石になら話せる気がした。
白石はクラスでも有名だった。
どんな人にでも同じように優しくて、グチなど話しても嫌な顔せずに聞いてくれる。
実際、彼女に相談相手になってもらってる奴はたくさんいた。

「じゃあちょっと聞いてもらっていいか?」
『うん! どーぞ♪』

俺は最近何もかもうまくいかなかった。
野球も友達も… 自分の思った通りに動かない体。
友達の前で笑おうとしても笑えない。
いつも笑っていることが嫌になっていることが嫌になっていた。
そのせいかツナ達にも迷惑かけてばっかりだった。
かけられる言葉は「大丈夫?」とか「無理しないで」という言葉。
いつもならそんなことでもあまり悩まない俺。
でも今回は違った。

『そっかぁ…』
「だからかな…最近ずっと雨が降ってればいいのに…なんて思ってる自分がいてさ」

心なしか声が震える。
泣いちゃダメだと思っても、視界が歪む。

『泣いていいよ…?』
「え…?」

俺は白石を見た。
白石は俺を見ないで、正面を見たままだった。

『泣きたい時は泣けばいいんだよ。思いっきりさ。強がったって自分が辛いだけだよ?』
「…」
『晴れの日があれば雨の日だってある。それと同じように笑う日があるなら、泣く日があってもいいと思うな』

白石は窓の外を見て今日みたいにさ、と笑う。

『たとえば、急な坂道を一気に駆け上がるとどうなる?』
「息が切れて、苦しくなる…?」
『ふつう、そうだよね。それもみんな同じだよ。山本君みたいに体力があっても走り続ければ、苦しくなっちゃう』

『だからさ、自分が雨の日は雨宿りするみたいに休憩すればいいよ。焦らなくてもきっと自分のゴールにたどり着けるよ』

彼女の言葉の一つ一つが心に染み込む。
今まで心の中を支配していた黒い感情がとけていった。

『そう思うと雨ってすごくいろんな事を教えてくれて、心の中の埃とか嫌なことも何もかもを流して、逆に輝きをくれるのかな…なぁんて思うんだよね」
「ハハッ、そうかもな♪」

すると白石はニッコリ笑って、

『やっぱり笑ってる方がいいよ、山本君は』

と言った。
笑顔ってこんなに自然に出るものなんだ…。

「ありがとう」

自然に言葉が出た。
なんだかスッキリした。

『お礼なら雨に言いなよ。私が言ったことも雨が教えてくれたことだよ』

だから私雨好きなの と彼女は楽しそうに空を見上げた。
すると、雲の間から日が差した。

「あ…」
『晴れてきたよ!!』
「そうだな♪」
『あ…虹…』
「…すっげぇな」
『うん!!』

フッと白石を見ると虹を見ながら微笑んでた。
トクン、心の中で何かが跳ねる。
なんだろう、この気持ち…。
優しい、優しい雨が、俺の気持ちを気づかせてくれた。


次の日

「オッス! ツナ、獄寺」
「あ、おはよう山本。あっ白石さんも」
『おはよう、沢田君、獄寺君』
「白石が一緒なんて珍しいじゃねぇか」
『朝、たまたま会ったんだよね♪』
「あぁ、そうなのな♪」
「十代目…野球バカやけに元気っすね…」
「うん、なんかあったのかな? 白石さんとも…あんなに仲良かったっけ?」

首を傾げながら、山本と七海を見つめる2人。
山本と白石が空を見上げていた。

「今日は快晴なのな♪」
『うん! 雲ひとつない青空だね!』

白石はいつもと同じ笑顔を見せる。
俺もつられて笑う。


雨はいろんなことを教えてくれた。
晴れの日もあれば雨の日があるってこと。

そして、優しい雨のような君への本当の気持ちを…。


END

〜あとがき〜
ご挨拶が遅れました!! 愛(マナ)です。
今回は山本君のキャラソン「雨のメッセージ」をもとにした作品です。
こんな感じで全てがまだまだな私ですが、私の作品で少しでも幸せな気分になれたらな…と思っております。

コメント、リクエストなどいただけたら泣いて喜びますので、どうぞよろしくお願いします。

ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。




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