『赤に染まる君は』
※暴力的表現があります。グロ注意。苦手な方は閲覧をお控えください。
また、『赤い眼をした君は』と併せてお読みになることをおすすめします。
手に伝わるのは、血肉を引き裂く感触。それは、僕にとってとても慣れ親しんだものだ。
君の驚く顔が見える。当然だよね。
僕の刀は何で君を貫いているんだろう?
僕自身も驚いている。
やめろ、この子に何をするんだ!!
頭でどんなに警鐘を鳴らしても、僕の体は彼女を傷付け、血を啜ろうとしている。いや、啜ろうなんて生易しいものではない。貪ろうとしている。
どうやら僕の意識と肉体は分離しかけてるみたいだ。
鼻を掠める鉄の臭いや、飛び散る赤い鮮血の生温さは感じるのに、肝心の僕の意志は体に伝わってくれない。
僕の意識はただ、彼女が血に染まり、その血を自分の肉体が飲み干していくのを傍観しているしかなった。
「お……きたさん」
彼女は最期、確かにそう僕の名を呼んでくれたのに、僕はそれに答えられなかった。
いったいどれほどの時間が経ったのだろう。意識と肉体が再びひとつになったときには、既に薫の姿は見えなかった。
腕の中には、血の気の失せたひとりの少女。
そして辺りは赤黒い水溜まり。
僕は彼女の体を抱きしめた。強く、強く。これが夢であってほしいと願って。だけど、彼女の体は冷たいままだ。
「……ちづる…ちゃん」
先程返せなかった言葉を口にしても、彼女が自分を呼ぶことはない。
彼女を抱きしめていた腕の力を緩め、顔を覗き込む。
赤に染まる君は、何故だか笑っているように見えた。
「……ふふっ…………あははははっ……!!!」
それを見たら何だか可笑しくなって、思わず笑ってしまった。
馬鹿だね。馬鹿だよ、君は。
こんなに酷い殺され方をして、血を貪られて、それで笑ってるなんて。君ほどの馬鹿、僕はほかに知らないよ。
彼女の顔に掛かった髪をどけ、頬に手を添える。
ねぇ、何で慌てないのさ。何で恥ずかしがらないのさ。僕の呼びかけにも答えてくれないし。あんまり無視してると、口付けるよ?
それでも千鶴ちゃんは黙りだったから、僕は彼女に口付けてやった。
彼女の唇は、とても甘かった。
本当に甘かったのは彼女の唇か、はたまたそこに付いていた血か………僕にはもう判断することなんてできなかったけれど。
はやく、目を覚まさないかな?
fin.
沖田さんも病んでるよー(泣)
グロくてすみません。でも書きたかったんです!!