『赤い眼をした君は』
※暴力的表現があります。グロ注意。苦手な方は閲覧をお控えください。
彼の手にした刀が、私の体に突き刺さる。骨を断ち、血肉を引き裂く。
その太刀筋は正に『新選組一番組組長沖田総司』のそれで、不謹慎かもしれないけれど、とても鮮やかに見えた。
「………あ」
今、彼を突き動かしているのは血を欲する衝動。羅刹の狂気。
沖田さん、沖田さん、おきたさん………。
彼の名を呼びたいのに、口はただ荒い呼吸を繰り返すばかりだ。
沖田さん、ごめんなさい。
ごめんなさい沖田さん。
貴方を支えられなかった。
貴方は血は要らないと、狂いたくないと、そう言っていたのに。
貴方を守りきれなかった。
遠くで、薫の声が聞こえる。もう私には、何を言っているのか理解できなかったけれど。
「お……きたさん」
文字通り『最期』の力を振り絞り、彼の名を呼ぶ。それが彼には届かないとしても。
なら、せめて、私の血が貴方の狂気を抑えられるように、貴方の渇きを癒せるように、貴方の焦燥を掻き消せるように、願おう。
沖田さんは私の体から刀を引き抜き、再度振り上げた。
鮮血が飛び散り、鉄の臭いと肌にべっとりとした生温さを感じる。
薄れる意識の中で網膜に映し出された彼の表情に、私の心が満たされていった。
赤い眼をした君は笑いながら見てる。
いつだって、貴方の笑顔は憎めなかったんだもの。
fin.
タイトルは凛として○雨の『COOL J』の歌詞の一節から。
千鶴ちゃんが病んでる!!