「……いった、ぁ?」

ずきずきする頭を押さえて起き上がる。
窓から射し込む光が今が朝だと教えてくれる。昨日の夕方からの記憶がない。
自分は何故ベットの中におんのかも何故頭が痛いのかも分からなくてボーとしてると隣でもぞもぞ動く温かいものに気づいた。

「…なん?コレ、」

ペラッとシーツを剥がしてそこにおる人物に目を丸くした。だってそこにおったのは俺が好きな可愛い女の子なんかじゃなくて、大好きな…
おっお、奥村くん!!?
どうして奥村くんがここにおんの?え、しかもは、裸やないですか!?
そこにいた人物にも驚いたが、自分、そして彼も裸だったことに全身の血の気が引いた。
慌てて奥村くんにシーツを被せて、一旦落ち着こうと辺りを見回せばどこかで見たことのある部屋。
ここは、奥村くんの部屋や…。
確か俺らは塾の教室におったはずやし、何で奥村くんの部屋におんのかも分からんし、何で俺らが裸なのかも、分からん…。
いや、本当は嫌でも分かってしまっているのに分かろうとしないだけやな…。

「…ん、しま?」

俺があわあわしていると、奥村くんが目を覚ましてベットから起き上がった。
あぁ、夢であってくれ!お願いやから何も起こってないと言ってくれ!!そう願いながら奥村くんに目を向ける。

「しま…あのさ、昨日のこと覚えてる?」

その質問にさぁと青ざめた。起き上がっている奥村くんの白い体には一目見れば分かるほどの赤く咲き誇ったたくさんの痕が残っていた。恐らく自分が付けた痕。

「しまぁ?」

ぴとりと俺の腕に触れ、上目遣いで除き込んでくる奥村くんにドクリと心臓が跳ねた。
あぁ、あかんっ!!

「おおお、奥村くん!ホンマにごめん!!俺、おれ…何も覚えとらんくて…ホンマにごめん!!!」

バンッと奥村くんを強く突き放し、自分でも最低だと思いながらも奥村くんに謝ってパンツだけ履き、服も着ないまま部屋を飛び出した。
旧男子寮の出入口まで走ると、後ろから奥村くんが追い掛けて来てないのを確認してから慌てて持ち出した荷物をまとめて服を着た。

「…はぁ、ついにやってしもぉた」

溜め息をつきながら寮に戻れば、坊たちに昨日はどうしたんやだのなんだだの言われたけど何も頭に入らなくて、

「…すんません。今は独りにしてください」

そうぽつり言えば煩く怒鳴ってた坊でも心配の眼差しで大丈夫か?って聞いてくれるからおん、とだけ答えてベットに潜り込んだ。
俺はなんて最低なんや!今まで築いてきた奥村くんとの友情もぶち壊して、奥村くん犯して、しかもそれを覚えとらんし…坊達にも心配かけるし、最低や。
もう、確実に嫌われたわ…キモイに決まってるやんな、男友達に犯されて…そこまで考えてかんがえるのを止めた。涙が止まらなかったから。
ずきずきする頭の痛みと今までに味わったことのない苦しみに朝まで涙は止まらなかった。







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