燐が変態です。







「ふぁ…んんっ……」

誰も居ない教室で響くのは厭らしい水音と女の子のように高い喘ぐ声。
そんな声を出す俺に目の前の彼は笑うばかり。

「あ、ぁあん…」

いやいやをする様に首を左右に振れば、彼の笑みは深みを増すばかりで、止めてくれる気配はない。
彼は俺が悪いの一点張りで、確かに俺が悪いのかもしれんけど、お仕置きやなんてそんなの嫌だ。

「お、おくむら…ん、くんっ。いやぁあん…あっ、」

「志摩。ゆび、抜いて欲しいのか?」

奥村くんの問いに今度は縦に首を振る。
自分の中で動き周り快感を与えるそれ。キスをされ、シャツを脱がされて突起部分を舐められ、終いにズボンと下着までも脱がされて自身を弄られた。
あぁ、なんでこうなってしまったんや、
中にある指が折られて身体がビクンッと動いてしまった。こんなん彼を喜ばすだけやのに。
ことの始まりは1時間前や。




其処は何時もの祓魔塾、何時ものメンバーで、何時もの様に過ごしていた放課後。事件は起きた。

「ぎゃぁあああっ!!」

「な、なんや!?」

「む、虫ぃいいいっ!!」

いきなりの叫び声でみんなが俺を見た。いや、せやかて虫がおったらそりゃ叫びますよ。
俺は我を忘れて叫んだ。そしてそのまま誰かにしがみついた。それが坊だとも知らずに。
自分から坊を抱き締めたのを奥村くんに見られてしまった時は自分で顔が真っ青になったのが分かった。
そしたら後はもう、想像がつく。
奥村くんに坊から引き剥がされ、そのまま空き教室へと連れ込まれ、冒頭へと戻る。



奥村くん、怒ってるんやろな…。このままで終わればええんやけど、彼はきっとろくでもない事を思い付いたのだろう。
この、心底楽しそうな笑顔が何よりもの証拠や。
彼は俺の中から指を抜き取り、代わりに解しきった俺の其処に自身を宛がった。

「ひぁっ…あぁんっ!!…はっ、」

ぐんっと勢い良く入ってきたそれを、受け入れることしか出来ない俺はまた高い悲鳴のような声を出した。

「ん、きっつ…」

「ぁあん…」

勢い良く入ってきたものやからきつく締め付けてしまったようで、彼の額からポタリと汗が垂れた。
そると、彼は何を思ったのかまたにやりと笑って、ガタリと立ち上がった。

「あ"あ"あ"あ"っ…!!」

いきなりの衝撃に思わず悲鳴を上げ、彼の背中に爪を立てた。だって、奥村くんが立つから、あれを俺の中に入れたまま。

「うぁ、ん…お、くむら…くん!?」

「はぁ。このまま校内一周…すっか?」

彼の言葉に身体中の血の気が引いた。嘘やろ?このままって、奥村くんの突っ込まれたままってこと!?そんなん、

「いや、やぁ…」

生理的な涙とは別の涙が流れて止まらない。それだけはいやいやと、何度も首を振っては奥村くんに謝った。

「駄目。これは志摩へのお仕置きだからな」

俺以外のヤツに抱きつきやがって。奥村くんはそう言いながらさっき脱がした俺の服を着させ始めた。
シャツはしっかりと前を閉めて、さっき付けられた痕が見えない様に。
ズボンと下着は履かせられるとこまで履かせ、見えてしまうところは奥村くんのブレザーを腰に巻いて隠した。

「ぢゃ、散歩行くか、志摩?」

「うぁ、んんっ…」

廊下に出て、ゆっくりと歩き出す奥村くんやけど、歩く振動で感じてしまう。声が聴こえない様に俺は奥村くんの肩に顔を埋めて声を必死に殺した。
お願いやから誰にも会わんといてぇ、そればかりを必死に願った。
怪力とは言え、同い年の自分よりも華奢な身体の男の子に抱っこ、しかもセックス中を見られたらもう死ぬしかないと思った。

「うぅっ…あ、ん…」

「志摩…?どうしたんや?」

さ、最悪やぁ!!まさかこんな時に誰かに会うやなんて、しかもこの声は…

「おう、勝呂」

あぁ、やっぱり。俺の背中から聴こえた声。つまり、奥村くんと向き合っているのは坊。
俺の方からは顔色は伺えないが、きっと心配をしてくれているのだろう(そりゃ、抱っこされてたらしますわな)。そんな声色やった。坊がもう一度どうしたんや、と聞くが、俺はそれどころじゃなかった。マジで、!
そんな俺の代わりに奥村くんが答える。

「志摩のやつ、虫にビビって腰抜かしたらしくてさ、ちょっと保健室連れてこうと思って」

笑顔で答える奥村くんがすごい。
思いっきりこんな状況を楽しんでる。
お願いやからバレないで!その願いが通じたのか、坊はそうか、と言って俺らを見送った。
これ以上ないってくらいにドキドキした。もうこんなのは勘弁して欲しいと思った瞬間、身体中に電流が流れる様な刺激が走った。

「ひゃ、あっぅん…あぁん!」

「し、まぁ…きっつ、」

まさかの奥村くんが階段を下り始めた。その衝撃に耐えられず、声を上げると同時に、くわえていた奥村くんの其れをきつく締め付けてしまった。

「あぁあ、りんっ…りんっ!!」

一段一段降りる奥村くんの名前を呼べばまたきゅうっと締め付けてしまった。
はっ、と短く息を吐く奥村くんやけど、踊り場まで辿り着くと周りに誰も居ないことを確かめて腰を揺らし始めた。

「あぁん、やぁっ…り、りん…くん!あんっ」

「はっ、ごめん志摩…も、でる…」

「う、そやろ!?こんな…と、こで、ああああんっはぁ……」

奥村くんは俺の中で達した。そして俺も奥村くんの後を追うように達した。
はぁはぁと2人して息を整えるが、俺の精液のせいでお互いの制服はベトベト。本格的にこのままでいるしかなくなってしまった。
奥村くんが出したのが漏れて脚を伝うのですら今の俺には快感で、もっと欲しいと思ってしまった。

「しま、ごめん…」

やり過ぎた。と奥村くんが俺の額にキスをした。
俺はもうええから、もう最後までやろって真っ赤になって答えれば奥村くんは嬉しそうに笑った。
この天使の微笑みに俺は弱いんや。
俺はそのまま、奥村くんと、繋がったまま手近の空き教室に入り、行為に没頭した。
今度からは虫が出たら奥村くんに抱きつこうと心に誓いながら…。









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