かなり時間が経ってから小十郎が口を開いた。


「なんでもする、か。……本当に?」
「ああ。出来る事ならなんでもしてみせる。なんならこの腹かっ切って核を取り出してもいい」

小十郎は少し、笑った。

「腹なんぞ切られてもな」

小十郎の雰囲気が幾分柔らかくなった。

「でも、本当になんでもする」
「じゃあ……………」

小十郎はすこし考えてから、にやりと笑った。

「とりあえず服、脱いで貰おうか」
「は?」

政宗は、間抜けた顔で口を開ける。
何故この状況で服を脱げなどと言うんだ?

「どうした?なんでもするんだろう?」

一体何を思いついたのだ?

政宗は訝しみながらも、おずおずと立ち上がると蒼い打掛を脱ぐ。
帯を緩めて、単衣も脱いだ。

「あ、あのよ。そう見られてると、ちょっと脱ぎにくいんだけど……」

小十郎が凝視してくるから、政宗は長襦袢に手をつけながらも動揺している。

「いいから」
「……………」

政宗は、促され襦袢も脱ぎ床に落とした。

「……脱いだぞ」
「まだ、下帯が残ってるじゃないか」
「し、下帯も脱ぐのか?一体何を……………」

小十郎の眉間に皺が寄る。

「早く」

政宗は羞恥をおさえて、下帯を解いた。

完全に裸だ。
一糸まとわぬ政宗を小十郎はじいっと見る。


(これは、罰なのか?)


裸などいつも抱き合う時に見られているが、自分1人が裸でその上じっとみられてると、かなり恥ずかしい。
前を手で隠している姿も滑稽だろう。

「座れ」

政宗は小十郎の前に座る。
あぐらをかきかけて、やめた。
車座りをして小十郎から、見えないようにする。

「1人でして見せろ」
「……………?何を?」
「自慰」
「What!!? Whatever do you think何考えてんだ?!!」
「何でもするんだろうが」
「……………」

とんでもない事を言い出す男だ。
これなら腹を切った方がましだ。

「出来ないか?」
「……………すれば、嫌いにならないでいてくれんのか?」
「ああ。約束する」
「……………」

政宗は、眉をしかめて俯いた。
何でもすると自分から言ったのだ。


(……………えぇいっ!!羞恥心なんぞ捨ててやる!)


政宗は、足を開いて恥ずかしさに縮こまっている自分のものに手をやる。

自分でするのなんていつぶりだろう?
少なくとも小十郎と会ってからは一度もない。

緩く上下に動かしてやると、徐々に堅くなってくるが、どうしても小十郎の手前集中できない。

「ふぅん。お前はそんな風にするのか」
「見る、なよ……」
「見る為にさせているんだ」
「……………」

政宗は小十郎の視線に耐えられずに目を瞑って自分を慰め続ける。


(イけば、この罰から解放してくれるんだろうか?)


ならばさっさと終わらせてしまいたい。
なのに、昇る感覚は一向にこない。

どうしようかと政宗が目を開けると、小十郎が唇を耳元に寄せてきた。

「どうした?あまり良さそうじゃねぇな」
「……………っ」

小十郎の声で青年の雄は堅くなる。

「物足りねぇか?なら、胸も触ってみろよ」
「そんな……………」

政宗は小十郎に救いを求めたが、撤回するつもりはないらしい。


ここまでやれば、もう羞恥も一緒だ。
政宗は言われるがままに、自分の胸の頂きに手を伸ばす。
小十郎がいつもするように、自分の指でこね回し、つねって刺激を与える。

びりびりと、胸から甘い痺れが政宗の下半部にまで走った。

「は、は……ぁ……」

自分の格好は小十郎には一体どう映っているのだろう。
政宗は薄く目を開けて小十郎を見た。

竜神のその唇には卑下た笑みが乗せられている。

「まだ足りねぇんだろう?お前は淫乱だからな」
「…………」

小十郎の言葉に少なからず青年は傷ついた。
やさしい彼にこんな言葉を投げかけられるなど初めてだった。

「後ろもしてみろよ」

政宗は半端な快楽にイライラし始めていたので、乳首をさわっていた手を離して、己の後孔に手を伸ばそうとした。

「ああ、手は使うな」
「……どうしろっていうんだよ……」
「自分の尾を突っ込めばいいだろう?」

半笑いで言う小十郎に政宗の顔が一気に赤くなる。

「一度俺がしてやったろ?気持ち良さそうに善がっていたじゃねぇか」
「……………っ」
「嫌と言うなら……」

小十郎が最後まで言う前に政宗は少しだけ竜形を取る。
角が生え、尾を出す。

小十郎がくすっと笑う中、政宗は自分の蒼い尾の先を後孔に突き入れた。

「あ、あぁ……………」
「いい子だ。ほら、手も休めるな」

どんどん思考がまともで無くなってくる。
そこまで行くと政宗は自分がどれだけ淫らで惨めな姿でいるかなど、頭をかすめるこさえ無くなって来た。

「こ、小十郎……………」
「すごい姿だな」
「こ、こじゅ…ろ…」
「やめるなよ?」

小十郎は政宗の身体を反転させて自分の胸に政宗の背を預けさせると、青年の両足を大きく開いた。

「目ぇ開けて前見てみろよ」
「……………?」

小十郎の言葉に青年が従う。
そこには、神鏡に映った自分のあわれもない姿が映っている。

自らの手で乳首を弄り、桃色の茎を握り、蒼い鱗の尾で自分の後を突いている姿。
顔は快楽に惚けて、目に涙を溜めて、唇は赤く濡れている。

「どうだ?中々いい格好だろ?」
「……………最、低……………」
「そうか?」

小十郎は政宗の背後で笑う。

「さぁ、仕上げだな。このまま達ってみせろ」
「……………」
「これで最後だから」
「……………くっ……」

政宗は快楽に集中させた。

しかし、達せる気配が全くない。

じりじりと快感が苦痛になり変わって、政宗がうつむきはじめると、小十郎が青年の角を後からぐいと掴んで顔を上げさせた。

「前を向いてろ。俯いたら顔が見えねぇだろうが」

達きたいのに達けない。
イライラした焦れた苦痛を含んだ快感に政宗は完全なる人形ひとがたを取り、全てをやめた。

「なぜやめる?」

政宗は小十郎にしがみつく。

「……………ない」
「政宗?」
「い…けない。小十郎がしないとイけない……………」
「……………」
「ごめん、1人じゃイけない。小十郎が一緒じゃないと達けない。何でもするって言ったのに……だめだ、出来ない………」

息を切らしながら政宗はそう言った。

「……………俺がしないと達けないのか?」

政宗は小十郎の首に両腕を回し、しがみつきながらコクコクと頷いた。

「……………参った」
「……………」
「そんな可愛いおねだりされちゃ、こっちが降参だ」

小十郎は、政宗を押し倒す。

「どうしてほしい?」
「挿れて欲しい……小十郎の熱を感じてぇ…」
「……………可愛いな」

小十郎は前をくつろげながら、政宗に口づけをする。

政宗が口づけを受けながら微笑む。

「どうした?そんな嬉しそうに笑って」
「もう小十郎とKiss出来ないかと思った」
「馬鹿だな」

政宗が服を脱いだ時点でもう堅くさせていた小十郎自身を、青年の蕾にあてがう。

「慣らさなくてもいけるな?」
「大丈夫……早く……」

小十郎がぐいと腰を押すと、なんの抵抗も無く小十郎の熱棒は青年の中に入り込んだ。

「は、あぁ、…………動いて、もう待てねぇ」

小十郎も待つつもりは無い。
すぐに腰を使い出す。
2、3度揺らしただけで、政宗は白濁をまき散らした。

それを見て小十郎は感動さえ覚えた。


(……………本当に俺がしないと達けないのか)


「辛くないか?」

政宗は首を振って大丈夫だから続けてくれと、懇願する。

小十郎は政宗の細い腰を持ち上げて、ぐぐっと奥に射し入れる。
青年は悦びに背を反らして、大きく啼いた

そこからは言葉も交わさず、夢中で抱き合った。
青年も積極的に腰を揺らし、小十郎は政宗にいろんな体制を取らせ青年を何度も達かせてやる。


激しさに政宗の意識が朦朧としだした頃、青年が言った。

「………小十郎………好きだ……………」
「……………っ」

締め付けと政宗の言葉に小十郎は、青年の中で果てた。







■□ ■□ ■□ ■□






小十郎は意識を飛ばしてしまった青年の身体を拭いてやる。

服を着せてやろうとした時、政宗が小十郎の着物の裾を引っ張った。

「小十郎……………」
「気がついたか?」
「……………」

どうやら、無意識のようだ。

「こじゅ……ろ…嫌いに、ならないで……くれ……………」

小十郎は今の政宗が見たら泣いてしまうのではないかという程優しい笑顔で、青年のすべらかな頬に口づけた。

「お前を嫌いになれる術があるなら、聞いてみたいもんだ」

ほんの少し意地悪をしてやろうと思っただけだったのに、政宗がここまでしてくれるとは思わなかった。
矜持の高い彼があんな淫らな要求に応えて、その上思わず怒っている表情を崩してしまいそうになる言葉もたくさん聞けた。


─────俺一人じゃ、この世界に生きて行けねぇ…っ
─────小十郎が一緒じゃないと達けない。


「ああ、クソ……………たまんねぇなぁ……………」


こんな台詞が聞けるなら、長曾我部や真田と少しくらい仲良くしたってかまわない。
そして怒った振りして、またこんな政宗を味わうのもあり、だな……………。


小十郎はもう一度政宗の頬に口づけを落とした。





■□ ■□ ■□ ■□



「とらのわこは、なにをないているのです?」

ここは炎神武田信玄の社。

かすがの酌を受けながら、信玄と謙信は酒を飲みかわしていた。

その横で火神真田幸村が大声で泣いている。

「竜神の社に使いを出して、帰ってきたらこの様だ。まぁ、なんとなく予想はつくが」
「そうりゅうの なかむつまじいすがたでも みてしまいましたか」
「諦めろと言っておるのに」
「なぐさめなくてよいのですか?」
「これも修行だ。ほおっておけ」

悔しさに床をダンダン叩く幸村の隣で、佐助がよしよしと幸村の頭を撫でてやる。

「旦那〜。もう帰ろうよ。お館様達にも迷惑でしょ?」
「許すまじ!竜神片倉小十郎景綱!俺に気付いていたであろうに……………」
「旦那〜〜……………」
「某は!某は諦めませんぞ!政姫殿おおおぉ!!ねばぁぎぶあっぷでござらあああああああああああああ!!!」
















このシリーズではエロがなかったので、存分にやらせていただきました^^

政宗の異国語が、幸村や小十郎にうつってます。
長曾我部や、佐助あたりも政宗といる時は、使ってるかもしれませんね。
黒竜シリーズこれにて終了。
ご愛読、誠にありがとうございました。

by 黒札
2014


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