九月の暗部・その後

(山下武は委員長のカモフラージュであるという説明をしました)

「──というわけだったんです」
「……」
「誤解させてしまって申し訳ありません。もう大丈夫ですよね?」
「何が」
「山下武イコール委員長ということです」
「……」
「ほら、私の不注意で携帯を落として、そこから委員長の番号が漏れてしまうのはどうかと思いますし」
「どうして君は落とす前提でモノを考えるんだい?」
「備えあれば憂いなし、です」
「……。君、番号が漏れたくらいで僕がどうにかなるとでも思ってるの?気に喰わないな」
「申し訳ありません」
「……」
「……」
「……ていうか、なんなのこのネーミングセンス。他にもやりようがあるだろ」
「そうですか?例えばどのような……」
「だから普通に……」
「はい?」
「……」
「……」
「……とにかく、それはやめて」
「わかりました。では代案を考えますね……澤田なんてどうですか?」
「だからどうしてそうなるの」
「いやだから万が一携帯を落とした時のために」
「この際君が携帯を落とすというのを絶対条件として考えてやるけど、他の名前で登録するのはやめろ。不愉快」
「不愉快、ですか?」
「そうだよ。どうしてそういうところを察しないのかな、君は」
「そうですか……考えが裏目に出てしまったんですね。わかりました、委員長ってわかるようにします」
「……ふん」

「……」
「……」

「……あ、台風の目にはいったみたいですね。今なら外に出ても問題なさそうです」
「ねえ」
「はい」
「……結局何にしたの」
「はい?」
「だから、アレだよ」
「先日委員会会議で話した案なら訂正したもので」
「……。携帯の話」
「ああ、あれですか。ちゃんと委員長ってわかるようになってますよ」
「そこまでは聞いた。具体的にどうしたのかって聞いてるんだよ」
「委員長」
「何?」
「委員長です」
「は?」
「委員長で登録しておきました」
「……。リテイク」
「えっ、ダメなんですか?」
「当たり前だろ。委員長って君……他に何人いると思ってるんだい」
「でも、委員長は委員長ですよ」
「そういうことを言ってるんじゃないんだけど」
「うーん……わかりました。じゃあこれに……」
「……風紀委員長って登録する気じゃないだろうね」
「あ、よくわかりましたね」
「風紀委員長なんて他校をあわせればいくらでもいる」
「でもここ並盛ですよ?並盛で風紀委員って言ったら一人しか……」
「隣町だったらどうなの」
「わかりました、並盛中学校風紀委員長にすればいいんですね。これなら誰か一目瞭然です」
「……文字数大丈夫なのそれ」
「余裕です」
「……。じゃあ、いいよもう。それで」
「あ、でも学校の番号と間違えちゃうかな……」
「…………」
「雲雀恭弥にしておきます」
「うん」


(101026)

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