夜の子ども16 | ナノ
指折り恋を数えるなら折った指を僕にちょうだい
そんなものないよ
拒みゆく媚び
生み出された残像が咽び泣くさまをずうっと見ていた
恋し恋しと哭くには切った指が痛いし足らぬ
かなわないと知っていて病熱はまだ喚き立てるのだった
「はじめから居なかったのよ、私は」
そう言って上手に消えた彼女だけれど、最大の失点は僕と出会ってしまったことだ。
残念だったね、君は僕の海馬に残った。
指を切りましょう(約束のために)
舌を切りましょう(反故したために)
ついては首を切りましょう(すべての罰のために)
そうして、わたしは夜の子どもになった