貝殻の裏に書いといたよ
バレないように、暗号にしてさ
普段なら言わないような、言えないような
短い言葉

帰ったらもう夜かなぁ
ああちょっと待ってて、なんか靴の中にさ
片っぽだけ砂が入ったみたい
貝殻持って帰るの?なんか照れちゃうな

背伸びしなきゃ言えないことは
まだ今は言わないでおきたい
息を吐くような何気なさで
口から溢れる時が来るまで

 街中 急に降った雨のせいで
 ずっと泣いてる小さな迷子みたい
 二人だけを残したバス停で
 髪の先から何度も雫が
 落ちるから この目は奪われたよ

どうしたの ねえずっとさっきから
内緒のまま笑ってるけど
もういいでしょ 待ちくたびれたよ
どれ思い出して笑ってるんだよ

さっきまでの雨が嘘みたい
買ったばっかりの服は大惨事でさ
やんなるなぁ 帰ったらすぐにでも
洗濯機を何回か回そうね

「天気予報ちゃんと見といてよ
いつも急に言い出すんだもん
屋根があるとこに行けば良かった」
今更そんなの言われても困っちゃうなぁ

 部屋中干した洗濯物で
 柔軟剤の良い匂いがして
 お湯が沸いた時の音が鳴って
 お風呂場に駆ける後ろ姿が
 なんか胸に来た 不思議、どうしたんだろう



 今日の記念にと持ち帰った
 貝殻の裏を覗き込んで
 全然わからないって根を上げる
 悔しそうにしてるその顔にさ
 アイニージュー 急にさ
 おどけた横文字で
 片肘ついて、着古した寝間着で
 息を吐くような何気なさで
 口から溢したら降って来るんだ
 おどけたパンチあとはそれから
 大好きな笑い声

2021/06/30 15:42













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