痛いのに辛いのに
誰も僕に触らないでよって思った
暗いのに怖いのに
誰にもわかるわけなんかないって
思った

ビルの隙間から覗く青空を見上げたら
どこまでも駆ける飛行機雲を見つけた
「飛べたらいいのに」
小さな声で呟いて
「そういえば高い所は苦手だった」
なんて気付いた

知らん顔でいいんだよ
視線もいらないんだよ
揺れながら歌いながら 泣いた

 もっと透明に なれたらな
 命を奪うこともなく
 たまに誰かを脅かすくらいでさ
 ちょっとでいい
 ちょっとでいいんだ



おひさまも絶対
追いかけてこれないような
あの空き家の押し入れのなか
一人遊んだ
涙が木目に染み込んで模様になって
「なんか顔みたい」
こっそりと笑った

いらんことは言うなよ
大体が余計なお世話だよ
泣きながら呪いながら 鼻唄

 もっと鮮明に 現れてやろうか
 僕のこと笑ってたあの人の
 写真の端っこに写り込んでさ
 ちょっとでいい
 ちょっとでいいから
 怖がってくれよ

2021/06/07 21:23













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