最後に少しだけ話していいかな
いつかは冷たいこの両手を
誰かが握ってくれると思ってた
夢みたいな、ただの、寝言だけど

マイナス百度に到達した
体内を巡ってるこの血管が
僕がさ、僕である所以なんだよ
一度も自由に動いてはくれない
この手足こそが、僕の姿だよ

 言葉は哀しい
 だって、ガラスのように隔たって
 互いの痛みだって
 届かないから

何度か聞こえたような気がした
祈るようなあなたの歌声が
どうして、こんなに覚えてるんだろう
初めて会ったあの日も歌ってたよね

泣かないで

 あなたは光
 きっと、僕にとってただ一つの
 優しい光
 ずっと、忘れないでね

 涙も愛しい
 そっと、上から垂らしてみてよ
 溶けるように熱い
 やっと、手が動いたよ

最後にこの手を離していいかな
もう繋ぐ力も残ってなくてさ
来世(こんど)は、二人で歌えるかな
それじゃあ、またね
忘れないでね

2019/10/30 16:34













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