one's birthday




「・・・・・・カカシ」
「ん、何?」
「今日、夕飯うちに食べに来ないか?」

任務が終了して、報告書を出しに行こうと思っていたところにサスケから声をかけられた。それも珍しく修行の話じゃない。しかもサスケの家に?
もしかして、それって──
「サスケ、それってサスケが手作」
「7時に来いよ、じゃあな」
そう一方的に告げて、走り去ってしまった。なんだか顔が赤かった気がする。どうしたんだろう、急に。もしかして『アンタにはいつも世話になってるから・・・ご飯くらい・・・』とか、そんな感じ?ナルトに『エコヒイキ!』とか叫ばれてもサスケの修行みててよかった。
(そうだ、報告書!早く出さなきゃ。──で家帰って風呂入って着替えて──急ごう)
もうすぐ5時だ。あまり時間がない。いつもの倍の早さで報告書を書き、いつもより断然軽い足どりで家へ帰った。

「手土産、何がいいかな」
ちょうど八百屋の前を通ったので、梨を一山。前にお昼に持ってきていた時に『ウスラボケた甘さだし、水分補給にいいからな』と言っていたのを思い出す。
(ウスラボケた甘さってなんだろう・・・)
顔が笑ってしまうのをなんとか抑え、八百屋を後にした。


5分早く着いた。
(ちょっと早いかな・・・でもぴったりも・・・)
うろうろして10分が過ぎた。もしここが普通に街中なら完璧に不審者だ。と、急に戸が開いた。
「さっきから何してる。早く入れ」
「あ、うん。お邪魔しま・・・」

「「「(お)誕生日おめでとう!カカシ先生!!」」」

玄関に入ると同時にクラッカー音。ナルトとサクラがいる。・・・お前ら、気配消すの上手くなったね。・・・って、今
「サスケ、今『先生』って・・・」
「気のせいだろ。早く上がれ」
ナルトとサクラに引っ張られて部屋──居間へと入る。そこにはたくさんの料理と、鮮やかな飾りつけがされていた。
「何、コレ・・・」
「今日はカカシ先生の誕生日だろ?ガイ先生に聞いたんだってばよ」
「一昨日から準備してたのよ」
そう言えば、昨日も一昨日も任務終了後は皆帰るのが早かった気がする。それは
「この為だったんだ・・・。だけど先生、自分の誕生日忘れてたよ」
「ジジィだからな」
後ろからフン、と呟かれた。かわいくない。
「先生、座って」
「始めるってばよ!」

初めて、部下を持った。
自分の誕生日なんて何とも思っていなかったけれど。彼らは今日この日の為に準備をしてくれていた。任務で疲れているだろうに、自分の為に。普段は決して言わない子が「先生」と言ってくれた。
「俺はお前らが大好きだぞ」
「何言ってんだってばよ。気持ち悪い」
「やめてよね、雨降ったら困るし」
「・・・・・・」
結構チームワークいいんだよね、こいつら。

「酷いなぁ。それより、先生お腹すいてるんだけど」
ナルトとサクラが取り分けてくれたりかいがいしく動いている間、隣のサスケに小さく聞いた。
「これって、サスケが作ったの?」
「あぁ、大体はな・・・俺の家だし」
「そっか。じゃあ、愛がいっぱいなんだね」
「はぁ!?」
急に大きな声を出したサスケに驚いた2人が振り返る。
「どうしたの?」
「・・・なんでもない」
「気になるってばよ」
「こいつがアホすぎて驚いただけだ」
「なーんだ」
サスケ、恩師に向かって『アホ』って・・・ナルトも『なーんだ』って何。なーんだって。
「何笑ってんだ」
思わず、声を出して笑ってしまった。久しぶりに声を出して笑った気がする。気分がいい。
部下を持つって、こういう事なのかな。
3人の頭を順にくしゃくしゃと撫で回し、心の中で思った。
(ありがとう)

翌日、お昼に3人が梨を持っている姿を見て微笑む。



(意外とチームワークいいんだよね)









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