依存性。
「俺、ケータイ依存症なんだと思うんです」
カリカリと先生の膝を引っ掻きながら言う。早く構ってほしいのに、仕事が残っているからとずっと放置プレイだ。
久々のデートに仕事なんて、と拗ねるけど仕事終わらせないとゆっくりできないって言われたら、もう待つしかない。
暇だから胡座をかいてる先生の膝に頭を乗っけて、とりとめもないことを話している。
「お風呂の中とかでもスッゴい見ちゃうんです。ゲームやってても本読んでても、気づいたらケータイやってんです」
「病的だな」
「ええ、本当に」
部屋の隅に投げられた自分のケータイを小さく睨みながら頷く。ちょうど、充電中の赤いランプが音を立てることなく消えた。でも、取りにはいかない。
「そのわりに成績はキープだけどな」
「それとこれとは違う話じゃないですかー」
「そうか?」
「そうですよ」
ケータイがあるからといって生活に支障が出るわけではない。というか、ケータイに執着しているのはごくわずかな時間なのだ。
あーあ、早く気づいてくれないかな。くれねえか。仕事モードだしな。
しょうがないから不貞寝でもしようとしたら、フワフワと頭を撫でられた。見上げれば、優しい顔した先生。
「ようは、俺依存性なんだろ?」
「!!」
「いい子だからもうちょっと待ってろ。今終わるから」
ケータイなんかいらねえっていうくらい甘やかしてやっから。
ニヒルに笑う先生がかっこよくて、ちょっと悔しいので、無駄な肉のない脇腹をつまんでやった。
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