【元旦編 】

白々と夜が明け、水平線の辺りが明るくなってくる

崖の上に7人、真冬の寒空の下で夜が明ける前からじっと座っている光景は今日でしか見れないものだ。
何故かって、そりゃ今日が元旦だからだ。

「さむーい!寒いぞっ!!」

とうとう我慢できなくなった小平太が声をあげて立ち上がった。
それに他のメンバーは呆れたように笑う。

「そりゃあね、この時期だもの仕方ないじゃないか。」

「……小平太が…言い出したこと……。」

伊作と長次の言葉に騒いでいた小平太はぐっと押し黙った。

長次が言ったように昨日の大晦日の朝に「初日の出が見たい!!」と言い出したのは小平太なのだ。
それに同意した6年全員と俺で、年を越してすぐに学園を出て海まで走ってきた。

「でも寒いもんは寒いんだよー。」

「小平太、お前は気合いが足りんっ!俺と共に鍛練でもするか!?」

『ちょ、もうすぐで見えるから鍛練は止めな!』

日の出までもうすぐだと言うのに、まさかの文次郎の言葉に俺は慌てて止めた。
すると留三郎がはっと鼻で笑う。

「たっく、鍛練馬鹿が。」

「なんだと貴様!」

「ああっ!?」

武器を取り出した彼らを止めようと俺が喧嘩の中に入ろうとすれば、それよりも早くガツンッと2人の頭に拳が落とされた。

「お前ら、新年早々騒がしい!!静かに初日の出を見ることもできないのか。」

はあっと大きなため息をつきながら仙蔵が海の方を指差した。

『「「うわぁつ!」」』

そこには橙色に輝く太陽が水平線から顔を出していた。
そのあまりの美しさに、みんながみんな感嘆の声をあげ見入っている。


「…また共に見れたら、な………。」


ぼそっと誰かが呟いた言葉は俺達全員の言葉だった。

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