雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ プロローグ


夢を見た。
この時代に生まれる前の夢を……。



毎日学校に通って、めんどくさい授業を受けて、帰りには友達と遊びに行って他愛ない話をして笑いあってた。
もともとあたしには両親はいなかったけれど、親友もいたし、好きな人もいた。それなりに楽しい人生を送ってたと私は思う。


人生が180度変わってしまったのは何時だったけ?


いつもと変わらず学校に行って、バイトに行って。気づいたときには赤ん坊。あの時は吃驚したし、かなり焦った。キャパオーバーで泣き叫んじゃったのは今では思い出したくない恥ずかしいものだ。
そして、赤ん坊になって数日あとに此処が"平成"の世ではないことを知った。そして、なんと吃驚することに性別も変わってた。

突然、転生して知らない時代に放り出された。男になって。流石に図太いあたしでも不安で押し潰されそうになった。

でもこの時代には両親がいたんだ。前にはいなかった両親が。
彼らは優しくて強かった。それに親の愛情を知らなかった私に彼らは"愛"を与えてくれた。子供らしくないあたしを、生意気なあたしを、気味悪がらず 「賢い子だ」と誉めてくれた。
だからこの時代で生きて行こうと思えたし頑張れた。前にはできなかった親孝行をするために。でも、

………死んだ。

1人哀しみに暮れていた時、あたしの前に組頭と前の城主が現れたんだ。 そして竹成様に出会った。

「はじめまして。あなたが蓮夜?私は竹成!」

男物の着物をきた女の子。 とても無邪気で、"次期城主"なんて似合わない笑顔の持ち主だった。
その時あたしの中で、否 俺の中で何かが変わった気がした。

この方に一生お仕えしよう。彼女の命尽きるまで、ずっと側でお護りしよう。そう心に誓った。
なのにーーー。

運命と言うものは残酷だ。こんなにあっさりと俺と竹成様を引き離すのだから。



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