雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 出逢いました-03-


なあ、嘘だと言ってくれよ。
俺は、"あたし"は何処に生まれてきたんだ?

この世界で15年生きてきて、違和感は何となく感じてた。

今、俺が生きている時代は室町時代。
でもこの世界の室町時代には"ラーメン"があるし"鉄砲"も伝来してる。有名な城もキノコ類の名前だったり。"あたし"の知っている歴史には無いものばかり。
別の世界だとは感じてたけれど、まさか2次元の世界だと思わないだろう?今も信じてない。否、信じたくないと言うのが本音だが。
なら目の前にいる土井先生はどう説明する?

……あれだ、きっと似てるだけだな。
そう思っておくことにしよう。

ヒュッと風を切る音に、意識が現実に引き戻された。慌ててその場を飛び退くと同時に地面に刺さったのは見覚えのある手裏剣だ。

「よお、見つけたぜ小頭。」

そこに居たのは、撒いたはずの追手の姿。数は6……、違う7人か。全くしつこい。しつこい男は嫌われるんだぞ。
しかし、土井先生(仮)に気を取られ過ぎて、こいつらの気配に気づかなかった自分に呆れてしまう。

『わざわざ死ににきたのか?』
「死ぬのは……くく、お前だよ。」

追手の1人がにやにやと笑い、そう言いきった。お前ら、悪どい顔がよく似合うよ。なんて馬鹿なことを考えていれば、また別の奴らが口を開いた。

「なあ、小頭知ってたか?俺らはあんたの事が大嫌いだったんだよ。」
「ま、本気であんたを慕ってた奴もいたが……。餓鬼のくせに"小頭"って言うとこがさ、俺らにしたら気に入らないんだよな。」

ああ、もう。小頭小頭と五月蝿いな。それに、それは実力の問題だろ。単にお前達が弱かっただけ。誰のせいでもなく己の問題じゃあないのか。お前らの言う餓鬼でも分かる事だ。

さてと、とにかく今は土井先生(仮)よりこいつらだ。別に俺だって、裏切り者の部下なんていらないし必要ない。竹成様はこいつらの事も「許す」と言った。が、俺は彼女のように心優しくないからな。徹底的に潰してやる。

ーーーさぁ、掛かってこいよ。
『俺を敵にまわしたこと、後悔させてやる。』

口角を上げ微かに微笑む。
それは端からみれば、余裕すら感じさせる不敵の笑みだった。


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