「進に、い…、さん、……?」
頭がついていかない。 目の前の光景が受け入れられない。 今、何が起こった?
なんで進兄さんが倒れてる? なんで姉ちゃんが泣いている? なんでチェイスが怒り狂ってる? なんで俺は……、
ただ見ているだけなんだ……?
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!
ごめんごめんごめんごめん。 ごめん、なさい。進兄さん。
俺はただ、奴等を一掃したかったんだ。だから洗脳されたフリをしていた。父さんさえ手にいれればなんとかなる。俺ならできると思ってた。馬鹿だった。過信だった。 姉ちゃんにどうしても真実を知らせたくなくて、泣かせたくなくて、今まで死ぬ気で頑張ってきたのに。……何やってんだ。 まさかこんな結末になるなんて思わなかった。
ねえ進兄さん、 俺を怒ってよ。馬鹿野郎って怒鳴ってよ。どうしようもない大馬鹿者なんだよ俺は。 それから思いっきり怒った後にさ、しょうがない奴だなって呆れてため息でも吐いて笑ってよ。進兄さんの笑顔ってさ結構癒されるんだよね。知ってた?知らないだろ?
なんで俺はまだ此処に留まってるんだ。 進兄さんを見殺しにしたくせに目的も全然果たせない。
進兄さんじゃなくて、俺が変わりになった方が良かったんじゃないか?なあ、どう思うチェイス。此処にお前がいたらなんて答えるだろうな。
ーーーーー剛!!!
俺の名を呼ぶ進兄さんの声が、笑顔が、頭から離れない。
ごめんごめんごめん。ごめんなさい。 何回謝ったって許されないけど。姉ちゃんの涙を止めることはできないけど。それでも言わせて欲しい。
ごめんなさい、ごめんなさい。 もう一度俺の名前を呼んでよ。笑ってよ。
俺の大好きな、進兄さん。
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