あなたが足りない。(ロイ) 裏
「ん... あ... はぁ... 」
「贔屓... 可愛い、な... はぁ」
「あっ、あっ、あっ... 」
律動に合わせて、贔屓の喉から音が上がる。
「ろ、い...も... っと... 」
「はぁ... っ... ん?」
「足りない。」
「え... ?」
「もっと。もっと、して」
動きを速めるロイ。
しかし、まだ何か不満気な表情で、贔屓はロイを見上げる。
「んっ... ち、がう。違う」
ロイは戸惑った。
今まで何度となく重ねた身体。
一度も不満を口にされたことがなかった。
何か悪いことでもしたか、今まで我慢させていたのか、それとも自分を嫌になったのか、、、
一瞬でネガティブなことばかりが頭に浮かび、萎えそうになったソレを、ゆっくり引き抜いた。
「やっ!!」
急に拒絶の言葉をぶつけられ、なぜいきなり冷めてしまったのかと悲しくなって、情けない格好のまま座り込み、俯いてしまった。
と。
贔屓が起き上がり、座ったロイの上に跨がるように乗ってきた。
「贔屓っ?!な、ななんだ?どうした?お、俺とはしたくなくなったんじゃ... 」
「なに、言ってんの?」
あんまりにも落ち込みすぎた頭では、咄嗟に理解出来なくて、狼狽えてしまった。
贔屓は、跨がった自分に当たるロイのモノを入口に導こうとして、すっかり萎えているのに気付いた。
「ロイ... ?あ、れ?」
なんとも情けない顔をしたロイ。
「私、なんか駄目だった?いけないことしちゃったかな?」
「いや... お前... 」
「あれぇ... 。ロイ、調子悪い?あ、もしかして... あの... 嫌、になっちゃった... ?」
「嫌、だと言ったのは... 贔屓だろ... 」
ロイには、何が起きているのか、さっぱり分からない。
「嫌?あれ?... ロイが抜いたから... 抜かないで欲しかったのに... 」
「え... ?ぇええっ?」
「もっとくっつきたかったの。なのにロイが離れるし、抜いちゃうし... 」
「あ... れ... ?勘違い... か?」
「ん?何?ロイ、私のこと、嫌いになっちゃった?私とするの、もう嫌になっちゃった?」
「ななな、そんなわけないだろ!?贔屓となら毎日でも、いつでもどこでもやりたいぞ??」
とてつもなく大胆なことを言うわりに、ロイの言葉には赤くなる。
「や、どこでもは、ちょっと... 」
「なっ?俺を信じられないのかっ?」
ロイったら、相変わらず妙なことを言う。
「じゃあ、... やりたい?」
「もっ、もちろんだとも!!」
「良かった!」
贔屓はにっこりと微笑んで、ロイの上から離れる。
「... 贔屓?」
今のやり取りでどうして離れるのか、と思った途端、
「っ... !」
「ふにゃふにゃもふきぃー」
(ふにゃふにゃも好きぃー)
萎えてしまったモノを口に含み、嬉しそうに口腔内で頬張るように刺激する贔屓。
「ふにゃふにゃのほひは、ひょうひゅもひみはい!」
(ふにゃふにゃの時は、醤油餅みたい!)
こんなにいかがわしい行為なのに、贔屓にかかればまるで健全な遊びのようだ。
視覚と言動のギャップとその刺激にやられて、ロイのモノが硬く持ち上がる。
「は、おっひふなっは!」
(あ、おっきくなった!)
「く、くわえたまま喋るな... っ」
「はっふぇ... 」
「だってじゃな... んっ... 」
先端に舌を伸ばしてチロチロと舐めながら、上目遣いに見られると、まるで自分が、贔屓の大好物になったような錯覚に陥る。
両膝を着き、自分の股座に顔を埋める贔屓の丸い双丘に繋がる滑らかな背中。
その扇情的な姿に、容易く自身を上り詰めらされる。
「あ... 贔屓、... 」
切なく呼ぶ声は少し掠れて、贔屓の秘所を潤わせる快感を与えてくれる。
「ロイ、...気持ち、い?」
右手で根元をゆるゆると扱きながら、焦らすように舌を這わす。
愛でるように裏筋を舐め、ぶら下がる袋を片方ずつ食む。
緩慢に動かされる右手の刺激に焦れて贔屓を呼ぶ。
「贔屓... 贔屓っ... 」
もっと強い刺激を欲して、無意識の内に贔屓の後頭部に手を遣ると、
「ロイ。このまま、イキたい?」
先走りと唾液で濡れた唇を左手の親指で拭いながら、意地悪く微笑む。
「っ... 」
まるで悪魔の罠だ。
そう思うのに、拒めない。
またもや緩い摩擦とねっとりと絡む舌に捕まる。
ロイとて、贔屓の中に入りたい。
しかし煽られ焦らされすぎた欲望は、性急に解放を求める。
「贔屓... 頼むから... 」
「んふふ。このままがいーんだぁ。ふーん」
「やっ... その... 」
「ロイ」
「あ... 」
「ふふっ。だーめ!」
口を離した贔屓は、無邪気に笑った。
「そんなぁ... 」
またもやお預けを食らって情けない声が出る。
すると贔屓がのそのそと身体を起こして、膝立ちのままロイの上に乗る。
ゆっくりと腰を落としながら、右手でロイを自分の入口に宛がい、滴る蜜を直接擦り付ける。
「ね。ほら、私、すごい濡れてる」
チュ...クチュ...
淫靡な音が、鼓膜を刺激する。
「贔屓っ?!」
ドキドキと強く打つ脈は、軽い目眩すら引き起こす。
「ふふ... ほら、ロイのも、ぬるぬる」
「ねぇ、ロイ、挿れたい?」
「私は、挿れたい。」
「もう挿れてもい?」
「我慢の限界、とっくに超えちゃってるんだも... 」
ああ... 贔屓の可愛い口から卑猥な言葉が次々と... 。
こんなにも官能的なことが他にあるか?!
否。
「くっつきたいの。ロイと。もっともっとくっつきたいの」
こんなことをしながらも、泣くんじゃないか、と思える顔をする。
「贔屓、あ... あああ愛してるぞ」
贔屓は一瞬の真顔のあと、
「ふっ... なに、それ」
笑った。
「なっ!」
「んっ... んん... あ、、、はぁ。入った」
ロイの驚きを余所に、根元まで収めた秘壺は、なにもしなくても蠢いていて、温かくて、まるで別の生き物のようだ。
そうすることで落ち着いたらしい贔屓は、ロイの頸に両の腕を回してしがみついた。
「ん、気持ちいい。ロイ、大好き... あ... はぁ」
すっかり贔屓に翻弄されているロイは、贔屓の想いを受けて、心も身体も反応する。
そうして抱き付いたまま、ロイの首筋に顔を埋め、切なく呟く。
「ロイ... 。私... いやらしい子で、ごめん... 」
「なにを言う!贔屓は堪らなくかわゆいぞ?可愛くて可愛くて... 」
食べてしまいたい... 。
ロイは贔屓の耳許で囁いた。
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