2011年09月04日(日)10:18
TV「それでも生きていく」
これはかなりすごいテーマに切り込んだドラマですね。
少年犯罪(殺人)の被害者家族と加害者家族、そして犯罪を犯した少年の「更生後」?を描く作品。
同級生に妹を殺された青年と、その犯人の妹がふとしたことで知り合い、立場を超えて心の交流をしていく様子が軸になっている。
犯人の少年(更生したと判断され出所、現在は成人)は名前を変えて果樹園で働いていたが、そこで女性に再起不能の重症を負わせて逃亡し指名手配中。
犯人の家族は先の殺人事件により世間から冷たい仕打ちを受け15年間にわたり職場や住まいを転々とする悲惨な生活。そこの娘が満島ひかり。
先の殺人の被害者家族は娘を殺されたことが原因で夫婦は離婚、兄弟も分かれ分かれになりやはり15年間消えない傷を背負って生きている。ここの息子が瑛太。
加害者家族の満島ひかりと被害者家族の瑛太が出会うことから物語は始まる。
そこに新たに「果樹園での殺人未遂」の被害者家族が加わって展開中。
まあなんですか、楽しいシーンがほとんどない、どのような結末であろうと亡くなった人は帰ってこないから、完全に「出口無し」のドラマです。
見るたびに憂鬱になる、満島ひかりの演技力がこれでもかと悲惨さを盛り上げる、家族で見るには胸が苦しすぎる内容ですね。
被害者家族だけでなく加害者家族もまた傷付き苦しんでいるのだということを被害者家族がだんだん理解していく過程も痛々しい。
さて、このドラマには現実の事件と不思議なシンクロがありました。
「警視庁は1日、殺人未遂と建造物等放火未遂で現行犯逮捕された無職、島野悟志容疑者(23)=大阪府茨木市春日=について、平成17年に大阪府東大阪市の公園で4歳の男児をハンマーで殴り重傷を負わせたとして、殺人未遂容疑で逮捕された少年=当時(17)=と同一人物だったと確認した。」
↑これです。
(これは現実の記事。9/1)いわゆるライブハウス放火事件と言われているものです。
ドラマの中の犯人もハンマーで少女(瑛太の妹)を殴り殺してしまった。
その後少年院、更生施設を経て「更生がされた」と判断されて社会に出てきたけれど、また事件を起こして逃亡。
少年が子供をハンマーで殴った事件は近年この1件しかなく、ドラマはもしかしたらこの事件にインスパイアされたのかも知れません。
しかし再犯までは予測していなかっただろう?
ドラマの中の少年(当時)も現実社会の少年(当時)も「誰でも良かった」といって目についた子供をハンマーで殴り倒した。
そしてドラマの中の犯人も現実社会の犯人もまた殺人未遂という大きな再犯をする。
我が子を殺されても犯人が未成年(少年)の場合、被害者家族は犯人の名前も顔も知ることはできず、どのような施設に何年入っていつ出てきたかすら、知ることができない。
公開裁判が行われないため、供述も知ることができず、また供述調書を読むこともできない。
やり場のない被害者感情
少年犯罪者の再犯率の高さ
このあたりがいつも少年法改正議論の焦点になっているわけです。
それでも少年は守られ、一定期間の「更生教育」が終わればその成果のいかんにか変わらずほぼ自動的に「更生した」と判断されて社会復帰する。
再犯して初めて私たちは「犯人は実はあの時の事件の少年Aでした」と知るのだった。まさにこんな感じで。
最後に、
ライブハウス放火犯人は今回こう言っている。
「誰でも良かった、大勢殺したかった。」
ドラマの中の犯人はこう言っている。
「僕は病気、治らない病気、(殺したいのを)いつも我慢している」
今日もまたどこかで少年犯罪が起こり、私たちの知らないうちに「更生後」?の犯人が期間満了→自動的に出所している。
私は結構これは怖いことだと感じている。
ちなみに欧米諸国では少年だから罪が軽減されることはなく、アジア諸国の中には親の責任を問われる国もある。
被害者より、犯人の少年のプライバシーや社会復帰を重視して保護しているのは日本だけです。
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