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フラーテル広報日記7
"RE"birth"!覚醒の2012"
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2012/03/22 03:15
北海のスピードスター

北海のスピードスター



フラーテルの選手はみんなユースやジュニア、大学時代から代表入りなどそうそうたる経歴の選手が多い。

大学や高校はもちろんのこと、中学どころか小学校時代から全国大会に顔を出している。


サルくんが入部してきたとき、よく言っていた。

「みんなすごいよね、俺はみんなみたいにいろんなところで試合してないし、
北海道を出たことがあんまりないから…ちょっとこんなんで大丈夫かなって思う!」


サルくんが入ってきた2008年は、いま振り返っても本当に大変な年だった。

2006年に表示灯からフラーテルになり3年、表示灯時代の選手が少しずついなくなり、
チームは本当の意味での変革の時を迎えていた時期だった。

潮目、とでも言うのだろうか?親潮と黒潮がぶつかるところを潮目と呼ぶけれど
そんな潮目のど真ん中に飛び込んできたのがサルくんでした。


あの年フラーテルは日本リーグ創設以来のの連覇記録を守ることができず、
山梨学院スタジアムで自分たちの長い影を踏みながらバスに向かった。

細い体で、山のような荷物を両手両肩に持って、駐車場に続く川沿いの道を
サルくんは歩いていました。

私はあまりの荷物の量を見て手伝うよ!って言おうとして、走って追いかけて
サルくんのすぐ横に追い付いた。

だけど私は言葉を言い出せなくて、サルくんの横を一緒に歩いた。
荷物を本当に山のようにもっていても選手は足が早い。

けれどサルくんは私の歩く速度に少しずつ合わせてくれて、一緒に並んで無言で歩いた。

バスについて私はありがとうと言おうとしたらサルくんが先にありがとうと言った。

何て言うか…。

あんなに胸が痛むことはなかったよ。

創部から3年、このチームがタイトルを失うということの意味を私たちは初めて知ったのだった。


途中、右手に見えた三本の大きな黒い木のシルエットをいまも覚えてる。
この前来たときは葉を一杯つけていたのに、今は葉を落として葉脈のような枯れ木のシルエット。

何か恐ろしいことが起きる予感がした。


監督も変わったその年の全日本選手権でも敗れ、たくさんの勇退者を出したフラーテル、
物語はやがてまぐちゃん入部の岡山遠征へと繋がっていくのだった。


あの年、サルくんとナベちゃん、たった二人の新入生が全部の雑用を引き受けていた。


まだ試合に出して貰えるはずもなく、仮に出たところで体も完全に出来上がっておらず。

見ているだけの試合で負けて、次もまた見ているだけの試合で負けて、
その繰り返しの中でフラーテルは少しずつ後ずさりするようにポジションを下げていった。

サルくんは入部以来、長いこと帰省しなかったんだよね。
本当に長い間。


お金もかかるし遠いしさ、と言っていたけれど本当の理由が私にはすぐ分かった。

自分らしくありたい、自分のホッケーをしたいという気持ちが溢れていたけど
自分のホッケーは何なのかをまだ探しきれず、とても苦しんでいた。


入部したとき「北海のスピードスター」って私がつけたら、
「カッコいい〜それ俺?でもそうなれたらいいな!」と照れていたサルくん。


ふつふつと何かが少しずつ蓄積していき、昨年のサルくんはカミソリのような切れ味だった。


まさにそれはスピードスター!


まあほんと凄かったね!
で、去年?実家に帰ったんだよね?
わっかりやす〜(笑)(笑)


ちげーよそれ関係ないし!って、分かった分かった。そうしときましょう。
休みも短いしね?
帰りたくても帰れない、そんな日もあるさ!


うん!
がんばれ私のスピードスター!!

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