03

妹に聞けば分かる、そう言い放ったあの人はうちの隊長に似てると思った
無駄に声が大きいってとこですけど。
沢田綱吉の捜索中はっきり言って迷子になってしまったヴァリアーの新米幹部であるフラン
ばったり出会う守護者たちに居場所を聞きつつ歩みを進めていた。
きれいなバラ庭園が見えてきた。
きっとあのひとが言っていたのは此処だろう

「すみませーん」

庭園の入り口あたりから顔をのぞかせて中を見渡す。
声に気付いてショートカットの人が出てきた。

「どちら様ですか?」
「ハルちゃん、お客さん?」

後から出てきたほうが妹さんで間違いなさそうですねー。

「ボンゴレ10代目がどこにいるかご存知ですかー?」
「ツッ君?どこに居るかハルちゃん知ってる?」
「ハルはツナさんのこと朝から見てないですね」

どうやら妹さんもその友達も分からないみたいですねー

「そうですかー。それじゃ、しつれいしまっ・・・!!」

くるりと後ろを向いて歩き出そうとすると自分の目の前の人物にぶつかりそうになった

「おーぶなかったー」

彼女が手にしていたお盆には紅茶やクッキーが置かれており、ぶつかっていたら今頃大変だっただろう。
そして彼女の顔を見たフランは目を見開いた直後に怪訝そうな顔をした
相手も大きな瞳をさらに見開いて驚きの色が伺える

「クロームちゃんはツナさんがどこに居るか知ってますか?」
「ボス・・・・たぶん屋敷に居ると思うけど・・・・・」
「わかりましたー。ありがとうございますー」

あまりここに長居したくない。
だって───

「クロームちゃん・・・それって・・・!」
「クッキー、作ってみた」
「まえ貰った時すごくおいしかったから嬉しいな!」
「そうだ!カエルさんも一緒にどうですか?」

あっちの2人は親切心で言ってるのだろうけど今は遠慮したいところですね。
断ろうと口を開きかけたけど、じっと見つめてくるクロームに何も言えず席についてしまった。
気まずいのに、ミーの任務は他にあるのに何やってんだか。
沢田綱吉を捕獲しないといけないんですよー?

「お茶ありがとうございました」

そう言って足早に立ち去ろうとしたのに。
それを彼女はやっぱり許してくれなかった。

「!!・・・・・待って」
「ミーは急いでるって師匠に伝えてくださーい」
「あっ」

軽く手を払い庭園に背中を向けてクロームから逃げた。
やっぱり守護者だからこの屋敷にいてもおかしくない
そんな彼女はボンゴレの霧の守護者、六道骸の代役。
そしてその六道骸はミーの師匠で、今目の前に居るナッポーヘアーの変態。

「ストーカーですかー?」
「僕の可愛いクロームに手荒なことはやめてくださいね、フラン?」
「軽く手を払っただけですよー・・・」

何も言わずにいつもの胡散臭い笑みを顔に張り付けて。
呼び止めておいて用はないんですかー?

「ミーは急いでるんですけどー」
「久しぶりですねフラン」
「無視か」
「少しは腕を上げたんですか?」
「師匠がいなくったってミーは・・・」
「僕はまだ少ししかこちらには来れませんからね。
 久しぶりに弟子の顔を見れてよかったです」

そんなポツリとらしくもなく呟くから。
なんだかこっちまで変にしんみりしちゃって。
いつもならこんなこと言ったりしないんですけどね。

「師匠・・・」
「クフフ、僕が恋しくなりましたか?」
「ミーが、ミーたちが助けてあげますから・・・・」
「それは心強い、楽しみに待ってますよ」

ザァッと霧がはれるように骸は姿を消し、代わりにクロームがスッとあらわれた

「じゃ、またいつかー」
「・・・・・骸様をっ!!」

ピタリと足を止め振り向かずに聞く

「骸様を・・・・・一緒に、」

少しほほを緩めてそしてフランは屋敷に向かった

(きっともうすぐ出てこれますよ、師匠)