07

使えない、もう利用する価値もない。
存在する意味もない。

「もう、用済みです」



「わざわざミーを呼び出して
 何か、用でもあるんですかー?」

着崩してだらしなくズボンからYシャツを出し
それの下のほうにはカエルのフェルトが縫い付けてある
緑色の色素の薄い綺麗な髪。
長く伸びた前髪の隙間から見える瞳には感情がなかった

生きる希望を、なくしたかのような

顔には殴られたような痣があった
青く変色した目元に、切れて血が出ている口
頬は大きく腫れあがり赤くなっていた
手足にも痣や擦り傷、切り傷。
見え居るだけで痛々しくなってくる有様だ

「心が痛むので僕の前でもそれ、消してもらえますか?」
「師匠がやったくせにその言い方はないんじゃないですかー」
「まぁいいでしょう。本題に入りますよ」

無言の相手をクフ、と癖のある笑い方をし見据える

「クロームを、消しなさい」

色のなかった顔に驚愕の表情が浮かんだ



「泣いてすっきりしたよ。人に話すのって
 緊張するけど・・・話してよかった!!」
「私でよかったらいつでも協力すから!!」
「本当に、美姫さん。ありがとう」


“ありがとう”

そう言って微笑んだ沢田くんの笑顔は眩しかった

「やっぱり笑顔がいいね!」
「え・・・そ、そうかな?」

照れたように笑う。
ツナは自分の中に人間らしい感情があったことに一人安堵した

「そうだ!さっきの、クロームちゃん?だっけ・・・
 生徒手帳とハルちゃんのクッキー届けたいんだけど」
「クロームはU−Dだから、えーっと・・・・
 2階の階段を左曲がったすぐの教室だよ!」
「ありがとう!届けてくるねっ」

駆けて行った美姫の背中を見ながらふと疑問に思う
そういえば樫原さんって体調不良で授業抜けてるんだよね?
サボリだと思いながらあえて触れないでおこう・・・


(なくしちゃった・・・)