01

教室の印象はとてもすっきりとして清潔で。
壁には落書きなんてなくて、丁寧に磨かれた床は光り輝いていた
公立の質素な雰囲気とは正反対でどこまでも手を入れられた装飾。
今まで馴染んでいた様子と違って落ち着かなかった。
こんな周りを観察していたらいつの間にか担任の話は終わったみたい
ヤッバ。全然話し聞いてなかった!
どうやら次の授業は担任によるものではないみたいで外へ出て行った
その直後。

ガタァン!!

イスが床に叩きつけられる音がして、誰かが倒れこんだ
傍に立ってるのはさっきの銀髪と爽やか少年。

「いった・・・・」

ぶつけた肩をさすりながら半身を起きあげたのはやっぱりあの男の子だった
恐怖を浮かべた瞳の色は真っ直ぐ2人を写している

「あの」

急に後ろから肩を叩かれて振り向くと、笑顔を浮かべた後ろの席の女の子
ふんわりとした茶色のショートカットに大きなつぶらな瞳。
女の私からしてもすごく可愛くて思わず息を呑んだ

「私、笹川京子って言うの!京子って呼んでねっ美姫ちゃん!!」
「あぁ、美姫でいいよ?よろしく!」
「本当?嬉しいなぁ」

えへへと恥ずかしそうに笑っている京子は天使のようだった
何この子。すっごく可愛いんですけど・・・!!!

「美姫は気になるの?」
「ん。何が?」

スッとあっちの3人のほうを見て指差した京子。
その先を見つめている目に何故か悪寒がした

「なんであんなことに、なってるのかなぁ・・・・・なんて。ははっ」

自分でも何がおかしくて笑ったんだとツッコミたくなった
笑って誤魔化しておかないといけないような、そんな気がした。
ふぅん。って三日月のように口元を浮かべた彼女の笑顔はとても邪気を含んでいるように見えた
この子は天使なんかじゃない・・・・悪 魔 だ !!!

「なんでだと思う?それはね、全部ツナ君が悪いの」
「え?」

邪気をたっぷり含んで楽しそうにニコォと笑う

「ちょっと目つきの悪い子は獄寺隼人君。でも格好いいから女の子に人気なんだよ」

きっと銀髪のことを言ってるんだと思う

「背の高い子は山本武君っていって野球部のレギュラーなの。それから・・・」

一呼吸置いてから紹介するのはきっと“ツナ君”のことだと思う
 
「多分、美姫が気になってるのは沢田綱吉君のことだと思うの」
「なんで、沢田君が悪いの・・・・?」

聞いてから後悔した。これは踏み込んではいけない内容
何故かって?ドス黒いオーラが京子の後ろに見えたから
彼女の唇が動いて言葉をつむぎだすのを見て思わず耳をふさいでしまいたかった。
ゴクリと唾を飲み込んだけど、すぐに喉は乾きだす

「だってね・・・・・・」

(彼女の背中に黒い翼を見た)