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私がいま居る世界は現実
非現実的な幻術が存在するのも現実
事情はかなり簡単に教えてもらった
それはあまりにも衝撃的で受け止めるのに時間がかかった
まさか、望んで入った学校が

マフィア育成学校だったなんて。

そんなことを知るのは1部の生徒だけらしい
その1部に本日私も入ってしまった。
転校初日という驚きの速さで。
V類はスポーツ専門という話だったけど、それは表
確かに推薦で野球やサッカー、ラクビーをしにくる生徒も居るけど
V類には裏の顔があった。
別名はヴァリアーという組織らしい
詳しいことは教えてもらってないけど
独立暗殺部隊とかいう血生臭い集団だ

「フランさんはヴァリアーの1員なんですね?」
「フランでいいですよー」

ヴァリアーについての否定はないので肯定ということだろう。
まさか闇世界の人たちだったなんて・・・・
じゃあ、もしかして─

「クロームちゃんも、そうなの・・・?」
「えっ、私は・・・・」
「クロームさんもそうですよー」

そんな・・・!
驚きを隠せない表情の私を見てクロームちゃんは俯き
ポツリと漏らした謝罪の言葉で胸が痛くなった

「そこで、です。
 ミーも薄々気づいてましたー
 認めるのが嫌だっただけで」

フランはさっきまでのポーカーフェイスを少し崩して辛そうに言った。



これからミー達は何事もなかったように生活するんです。
クロームさんは他の生徒が邪魔で殺せなかった、と
師匠にはミーから伝えますー
え?師匠に今までの経緯が筒抜けなんじゃないかって?
心配後無用ですー!
今の師匠には他人の心に入り込むことはできないと思うんですよねー。
ミーもよく分かりませんけど。

「それってもしかして・・・」
「勘、ですねー」
「勘!?そんな不確かでいいの!?」
「術師の勘は、ただの勘とは違いますよー」

心に入り込めないならこの出来事は
知る由もないはずなんですよ
そこで美姫さんに話がありますー
師匠が師匠じゃないなら、今の師匠は
幻術の可能性が高いですー

「術師なら気づくんじゃないの?
 幻術かそうでないか・・・って」

何言ってるんですかー?
師匠はミーの師匠ですよー?
その師匠をどうにかして静かにさせてる相手
そんなのにミーたちの勘が利く訳ないじゃないですかー

「でも、それを見分けられるのは」
「そう。美姫さんですよ」

賭けでしかないんですけどねー
と、カエルは無責任に笑った
もし彼が幻術で出来ていて黒幕が後ろに居るなら
私と六道さんが偶然を装ってすれ違ったとき
疑念の目で見つめれば一瞬で霧になってしまうだろう

(一か八かの大勝負!!)