08

どこかに落としちゃった
ポケットの中にある違和感がないことに気づく
いつも入れてる生徒手帳がなくなってる
あの中には大切なものを挟んでたのに・・・
骸 様 っ

慌てて今来た道を遡る。
ない、ない・・・・
あの頃の優しい皆で撮った写真なのに!

「クロームさーん」

間延びした間抜けた声
今も昔も変わらない喋り方なのに
こもってる感情が全く違う。
昔はもう少し優しかったのに

「骸様の、お弟子さん・・・」

恐る恐る振り向けばやはり考えが読めない
死んだ目をしたフランが立っていた

「どう、したの?」
「とっても言いづらいんですけどー
 ───死んでください」



階段を上って視界が開ける
真っ先に飛び込んできた情報に目を疑いたくなった。
クロームが床に倒れた、
否──床に叩きつけられた

「クロームちゃん!?」
「うっ、ん・・・・だ、れ」
「そんなことは後でいいよっ!!!
 あなた、何やってるんですか!?」

急いでクロームに駆け寄って相手を睨みつける
気づいたら動いていた
怖いのに怖くない。
違う、目の前の子も怖いけど
人が傷つくほうがもっと怖い・・・!!

「そっちこそ、何者なんですかー?」

気が抜けるような喋り方
馬鹿にしてるとしか思えない。

守らなきゃ・・・・
クロームちゃんを、守らないとっ!!


(幻覚空間に飛び込んできた!)