「クフフ・・・クフフフ」
「ムム?男の声・・・?」
クロームとは明らかに違う低い声に、マーモンは首を傾げる。
ガンと床に三叉槍を突き刺す。
抉られた床、同時に生じた波動がマーモンまで真っ直ぐに伸び、弾き飛ばした。
「クフフフ。随分いきがっているじゃありませんか。
マフィア風情が」
霧が晴れ、現れたのは三叉槍を手にした、男。
「六道骸・・・!!間違いない」
「骸・・・・・・無事だったんだ・・・」
骸は一瞬璃真を見てからツナに視線を移した。
「お久しぶりです。舞い戻ってきましたよ・・・・・・・・・・・・
輪廻の果てより」
「骸・・・」
璃真が呟い声は隣にいる愛羅にさえ聞こえないほど、小さかった。
骸の登場に驚いたり、警戒する他の面々。
「奴が霧の守護者の正体なのかコラ」
コロネロの問いに、リボーンはニッと口端を上げた。
「・・・・・・・・・・・・・・・ウム。
六道骸・・・どこかで聞いた名だと思ったが思い出したよ。
たしか一月程前だ。
復讐者の牢獄で脱走を試みた者がいた。そいつの名が六道骸」
「なあ!!」
「あの鉄壁と言われる復讐者の牢獄を・・・・・・」
「ま・・・っ、また脱走したのーーー!!?」
「だが脱走は失敗に終わったはず。
更に脱走の困難な、光も音も届かない最下層の牢獄にぶちこまれたと聞いたよ」
「!!!」
「っ・・・・・・」
「骸、囮になる気?」
「・・・・・・まさか。僕はそんなお人好しではないですよ」
やっぱり・・・
囮になったんだ・・・
自分を大切にしてって・・・言ったのに・・・
「・・・・・・・・・」
わかってる。
2人を逃がすには強行突破しか方法がなかったって。
1秒でも早く、彼らを牢獄から出してあげたかったんだって。
何も出来なかった私に、骸をとやかく言える権利は無くて。
涙が出そうになるのをぐっと堪えて、唇を噛みしめた。
「クフフフ、ボンゴレが誇る特殊暗殺部隊ヴァリアーの情報網も、たかがしれてますね」
「ム」
「現に僕はここに在る」
「面倒くさい奴だなぁ。いいよ、はっきりさせよう。
君は女についた幻覚だろ」
「おや」
マーモンの幻術で、体育館内は猛吹雪に見舞われた。
「うわあ!!」
「吹雪です!」
「寒い!凍えて死んでしまうぞ!」
「っくしゅん!」
「愛羅、大丈夫?」
「ん。ヘーキ」
「おやおや?」
マーモンの幻術は生半可なものではないのだが、骸は余裕な雰囲気を崩さない。
「幻覚でできた術士に負けてあげるほど僕はおひと好しじゃないんだ」
吹雪は骸へ集中し、体を凍らせていく。
骸は焦りも抵抗もせず、足から頭まで、全て凍らされてしまった。
「さて、化けの皮をはがそうか」
そう言って、フードからハンマーを出す。
金属でできていそうなそれは、当たったら、ダメージは計り知れない。
「もっとも砕け散るのはさっきの女の体だろうけどね」
そのまま骸に一直線に向かっていく。
「ああっ」
「やべぇ!」
しかし、骸のすぐ前まで、マーモンが来た瞬間。
ズバンッッ!!!
火柱が立ち上り、マーモンを捕らえた。
骸の瞳の数字が一に変わっている。
火柱は蓮へと形を変え、蔦がマーモンに絡みついた。
「クフフフ、誰が幻覚ですか?」
シュウ・・・と、骸を覆っていた氷は呆気なく溶け、蓮の蔦はマーモンをよりいっそう、強く締め上げる。
「あのバイパーを圧倒してるぜ・・・・・・・・・」
「あれがツナの霧の守護者、六道骸だ」
「やっぱり本物なんだ・・・」
「しかし・・・だとしたらさっきまでの女はどーなるんですか・・・」
「クロームと骸をわけて考えちゃダメだぞ。クロームがいるから骸は存在し、骸がいるからクロームは生きていられるんだ」
「い・・・意味わかんないよ」
今はこうするしかないのか・・・・・・・・・
でも、このままじゃダメだ。
骸の力が及ばなくなったとき、クローム・・・凪はどうなってしまうのだろうか・・・。
骸来る!
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