深夜・・・・・・
ビルの屋上に2つの人影があった。
「ゔお゙ぉい!!
てめぇ、何で日本に来たぁ。ゲロっちまわねえと三枚におろすぞぉオラァ」
「答える必要はない」
剣を向ける長髪の男に額に炎を灯した少年が答えた。
ガキンッ!
「くっ」
男に弾かれた少年は、ビルから落ちかけたが、縁を掴んでなんとか持ちこたえる。
「ゔお゙ぉい!!よえぇぞ!!」
そのとき、少年のポケットから写真が落ちた。
慌てて掴まれたその写真に映っていたのは…
「(こんなところで・・・
やられるわけには)」
・・・・・・幼い璃真とツナだった。
****
「母さん、飯まだ〜?
!!!
すげーごちそー!」
リビングに入ったツナは、どぉんっと並べられた料理の数々に驚き、声を上げる。
「しかもまだ作り続けてるんだよねー」
璃真はエビフライをパクッとつまんで綱吉に言った。
ん、美味しい!
さすがお母さん!
「ツナ、これはどういうこと?」
「璃真姉おかえり武者修業お疲れ様パーティーは終わったし・・・。
ツナ兄が100点とってきたとか?」
「いや・・・・・・
(返ってきたテストは0点だったし、体育ではボールが顔面に直撃したし、何もないところで転けたし・・・・・・)
普通に今日も、ダメライフだったけど・・・」
ツナは今日1日を振り返って答えた。
「うーん、じゃあ璃真姉?ノーベル賞を受賞したとか?」
「・・・なんか私のはスケールが大きいね・・・。
私も別に・・・・・・
(赤い惑星の仕事で)麻薬の取引現場を抑えたくらいかな?
いつも通り、変わらないけど」
「(いつも通りが普通じゃねー!)
か・・・母さん・・・?」
ランランと楽しそうに料理をしているお母さんにツナが話しかけた。
「どーしたんだよ?何か態度変だよ」
「あら、そうかしら・・・?そーいえば、2人にまだ言ってなかったわね」
「?
何かあったの?」
「2年ぶりに、お父さん帰ってくるって」
「「っ!!?」」
「え!!?な!!!
はぁーーー!!?」
「か、帰ってくる!!?
見つかったの!!?お父さん!!」
「見つかった・・・?何のこと・・・?」
「父さん、蒸発したんでしょ!?」
「やーねー、2人とも!だったら、2人の学費や食費は、誰が稼いでるの?」
「保険金とか・・・。
あと、私の預金とかからだと・・・」
「娘に養われるなんて、そんなことしないわよ!」
「使って良いって言ってるのに」
「え!?姉ちゃんの預金って何?」
「璃真姉は未成年者の預金ランキングで、堂々の1位なんだよ!」
「は!?」
「璃真、お父さんの名義で株をやってるのよ」
「株ーーーっ!?」
「あれ・・・?知らなかった?」
「メチャメチャ初耳だから!!」
私がお金を持ってるのを知ってるのに何も言わないから、つい知ってるんだと・・・。
「内緒にしててごめんね・・・?」
「え、あ、うん。って、それよりも!」
「あ、そうそう!
お母さん、お父さんと連絡とってたの?」
身を乗り出して、お母さんに詰め寄る。
「ええ。お父さんは出稼ぎで外国で石油を掘ってる泥の男なのよ」
「泥・・・・・・」
「でも・・・・・・
お父さんは消えたって言ってなかった?」
璃真は数年前の記憶を手繰り、訪ねた。
「璃真、ツナ。聞いて。お父さんね、消えてお星様になっちゃったの」
「・・・は?えっ!?どういうこと!?」
「お星様ー?」
「お父さんはロマンチックな人だから、ロマンの星になったのよ!
見える?あの綺麗なお星様」
「見えるー!」
「綺麗ねーつっくん。
璃真ちゃんは?」
「み、見えるけど・・・・・・え!?ちょ、だからどういうこと!?(まさか蒸発!?)」
・・・・・・うん、そんな感じのことがあった。
「ああ、あれ?あれはお父さんが出発前に・・・」
「行ってくるぞ奈々」
「はい。あなた」
「奈々。お前、ロマンのある男が好きだったよなぁ」
「ええ」
「ツナと璃真にはオレが消えて星になったとでも伝えておいてくれ。
そのほうがロマンチックだ」
「まあ」
「あばよ」
「って!」
「納得できるかー!」
ぽわんと話すお母さんに、ツナの鋭いツッコミが炸裂した。
嵐の予感
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