fragola
雲雀夢/少陰夢


Since:2010/08/01
Removal:2013/04/01



不似合い


いつもの様に、仕事の上司であるトムさんと押し掛けて。


いつもの様に、ドアやその他諸々を打ち壊す勢いで乗り込んで。


いつもの様に金を回収する・・・



・・・・・・はずだった。



「「あ・・・」」


「ん?あ、もしかして、ここに住んでる人のお知り合いですか?」



お世辞にも綺麗とは言えない、はっきり言うとボロいアパートに、女がいた。


歳は俺より少し下くらいだろう。


派手でもなく、地味でもなく、品の良い服装で柔らかそうな蜂蜜色の髪を靡かせた彼女は、このボロいアパートには全く合っていない。


俺はこんなにも顔の整った奴がいるのかと、驚いた。



「いや、知り合いっつーか・・・

テレクラの料金の徴収を・・・」



トムさんが言いにくそうに頭を掻いた。



もし、この少女が部屋の主と知り合いだったら。


ってか部屋に訪ねて来てる時点で知り合いなんだろうが・・・


金を徴収しにくい。



「ああ、お仕事ですか。お知り合いじゃないなら良いんですけど」


「「????」」



璃真の言葉の意味が解らずに、静雄とトムは首を傾げた。



「えっと・・・私、これからこの部屋の人にかなり酷いことするんですけど、騒がないでいただけると助かります」


「は?」



ピンポーン・・・


「・・・あれ?出ない・・・・・・居留守とは卑怯な」


「いや、出掛けてるんじゃないか?何なら電気メーター見てくるが・・・」


「いえ。中に居るのはわかってるんです」



ピンポンピンポンピンポーン・・・


俺の問いに、チャイムを連打しながら答えた。


何で居るか居ないかわかるんだ?


ガチャ


「煩ぇんだよ!」


「おー・・・本当に居た」



中から出て来た中年男を見て、トムさんは感心したように呟いた。



「どうも」


「あ?誰だ?」



男はニヤニヤと少女を見る。

いかがわしい事を考えているのが良くわかる。



「少しお聞きしたいのですが」


「んー?お嬢ちゃんがおじさんの言うこと聞いてくれたら答えてあげるよ?」



男が少女の肩に触れた。


助けた方が良いんじゃないか。


そう思い、近寄ろうとしたら―――


ダァッンッ


少女が肩に置かれていた手を掴んで、男を投げ飛ばした。


そして素早く男の上に乗る。



「あなたに“答えない”って選択肢は無いんですよ」



璃真はにっこりと笑みを浮かべた。



「さて・・・あなたはイケナイお薬をどこから買っているんですか?」


「「!!?」」



ドラッグ・・・か・・・?

でも、何故こんな少女が・・・?



「て、てめぇ何者だよ!?つーか俺、薬とか・・・ウガッ?!!」


「「!!?」」


「ごちゃごちゃ言わなーい」



少女は素直に答えようとしない男の口に・・・


拳銃を押し込んだ。



「お、おい、嬢ちゃん・・・」


「あぁ、すみません。あなた方もこの人に用が有るんでしたね。すぐに終わらせるんで、騒がないで下さいね」



俺達の方を向いて、銃を持ってるなんて思えない、可愛らしい笑顔で、そう言う。



「もう一度聞く。ドラッグをどこから入手している」



先程までとは打って変わって、冷たい声。


口から抜いた銃を額に押しつけると、男は震えながら声を絞り出した。



「よ、吉之崎組の・・・」


「ふーん・・・吉之崎組・・・


うん、嘘は言ってないみたいですね。じゃあ、今持ってる分、全部出してくれます?」



少女は男を立たせると、背中に銃口を押し付けた。


そのまま部屋に入る。



「えっと、テレクラの料金っていくらです?」


「え、あ、あぁ・・・17万だが・・・」


「だって。今払えます?」



男は静かに首を横に振った。



「はい、嘘ー」



クスクス笑いながら、きっぱりと言った璃真に、男は更に脅える。




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