fragola
雲雀夢/少陰夢


Since:2010/08/01
Removal:2013/04/01



鶴の一声


永山さんが教室に戻ってきたと同時に、4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。



「永山さん!璃真さんの話って、何だったの?」



璃真さんが関わっていることだからか、クラス全員が、永山さんに詰め寄った。



「えっと・・・ね・・・」



少し間を空けて、永山さんはポツポツと話し始めた。



きっとあなたは・・・



「あの・・・生徒会長さんって・・・・・・その、京子ちゃんと仲良しみたいで・・・」



あの人が、どういう人かも知らないで・・・



「“京子が可愛いからって僻むな。これ以上、京子に手を出すなら、容赦しないから”って言われたの・・・」



呆れる程バカなことを・・・



「・・・・・・・・・それ、璃真さんが言ったのか?春菜ちゃん」


「うん・・・お前は敵だ、ブスが調子に乗んなって・・・

私、怖いよ・・・!あの人が怖いよ・・・」



・・・・・・言うんでしょうね。


美歩が春菜を嘲笑うかのように口元を緩めたことに、気づいた人は誰もいなかった。




ほんと、呆れるほどバカでマヌケな人。



「あの人、暴力を振るうつもりみたいなの・・・。


ねぇ!助けてぇ・・・?」



そう言って、目を潤ませる永山さん。


男子生徒の腕に絡みついて、上目遣いも忘れない。


ふふっ、期待を裏切らない人。



「助けて、ねぇ。





無理だな!」


「・・・・・・え?」



意味が理解できなかったのか、一瞬固まった。



「な、なんで・・・?」


「だって・・・







お前はオレらの敵だろ、永山春菜



「え・・・!?」



何を言われたのか、理解できていないみたいだけど・・・。



「璃真さんが、そんなこと言うわけねーし」


「それに、もし言っていたなら、璃真さんは、あなたを敵と言ったんでしょ?」


「なら、璃真さんの敵はオレらの敵ってな!」



お姫様(イレギュラー)の影響力はあなたの比じゃないんだよ?



「つーか、璃真さんが怖いとか、ウケるし!」


「あんなに優しい人はいないっつーの!!」


「あんたバカね、璃真様のこと知らなかったの?」



何も知らないバカなあなたは、並盛の支配者に手を出した・・・。




















何が・・・どうなってんのよ・・・・・・?


さっきまで私の駒だった男子も、


巻き込まれたくないから無関心を装っていた女子も・・・


“璃真”の名前を出した途端、いきなり敵になってしまった・・・。


なんで・・・?


なんで・・・


なんでなんで!?


可愛い春菜が、脅されたのよ?!


こんなに脅えてるのよ?!


何で・・・・・・何で誰も心配しないの!?


心配しない所が、明らかな敵意を向けられる。


次にどう動けば良いのか分からず、ただ茫然と立ち尽くしていると、放送のスイッチが入った音がした。



「《生徒会からお知らせです》」



!!!!



それは紛れもなく、つい先ほどまで話していた、女の声。


クラスメート達も、私のことを、とやかく言っていたのが嘘の様に静まり返った。


女の声を聞き漏らさないために・・・?



「《5時間目は全クラス授業を中止し、生徒総会とします。

予鈴が鳴り次第、速やかに体育館へ移動してください》」



なに・・・・・・?


一体、何が始まろうとしているの・・・?





すべては自分が招いた結果。


こちらで鳴いた、(イレギュラー)の一声が、夢見る少女(バカ)を、崩壊へと導くのだ。




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