fragola
雲雀夢/少陰夢


Since:2010/08/01
Removal:2013/04/01



動き出した罠


次の日、永山さんは足にガーゼを当てていた。



昨日の今日ということもあり、男子は勿論、女子も心配そうに永山さんに近寄った。


ま、女子は上っ面だけだけどね。


だって、ここで心配したフリをしたほうが、犯人だと思われ難いでしょ?


それがわかっている私も表面上、心配する。


でも。



「永山さん、膝大丈夫?」


「痛そう・・・いつケガしたの?」



私は彼女達みたいに労りの言葉は掛けない。



「まさか、誰かにされた?」



その問いにピクリと肩が揺れた。


おーおー。

わざとらしいねぇ。



「ち、違うよぉ・・・わ、たし・・・が・・・勝手に転んでぇ・・・・・・」



イヤー!

キーモーイー!

あ、これ2回目?



ガラッとドアが開いて、沢田君と京子ちゃんが入ってきた。


あ、永山さん、顔顔!

超歪んでるよ?

嫉妬むき出し!


なんで誰も気づかないのかなぁ・・・。


あ、もしかして、私以外にはフィルターかかってんのかな?


トリップフィルターとか?(笑)



「あ、永山さん、膝どうしたの?」



本気で心配そうに永山さんに近寄る京子ちゃん。


彼女はいつだって、本当の優しさを相手に向けるんだ。



「ぁ・・・・・・京、子ちゃ・・・ん・・・・・・」



永山さんは隣にいる男子の服をギュッと握った。

これはこれは。


まさか、実は京子ちゃんにイジメられましたー!(笑)に持ち込む感じ?



「春菜ちゃん?・・・あ、まさか笹川・・・!」


「え?なあに?」



こてんと首を傾げる京子ちゃんの瞳は一切の濁りもない。



「あ、何でもねえ!悪ぃ気にしないでくれ!

(笹川がするわけねーよな!)」



男子の返事に永山さんは一瞬顔を歪めた。


あれ?今のはお気に召さない?


笹川、お前がやったんだなって言って欲しかったのかな?



「おっスー・・・って、今日も何かあったのか?」



入ってきた山本君、となぜか獄寺君。



「山本君、獄寺君、おはよう!」


「はよ!笹川」


「////」



山本君達に向けられた笑顔にも、つい顔を赤くする沢田君。


永山さん、ガン見しすぎだし!

睨みすぎだし!



「・・・んで、何があったんだよ?」


「永山さん、足をケガしちゃったみたいなの」



しゅんとする京子ちゃんも可愛いです。


たぶん、沢田君とは京子ちゃんの可愛さについて、かなり語り合えると思う。



「きょ、京子ちゃんのせいじゃないんだから!」



そんな顔しないで、って言う沢田君。


さっさと告っちゃえば良いのに。




















もうっ!

本当に気に入らないわ、笹川京子!!


ツッ君は笹川京子にばっかり気を使って、私にはおはようの1つも言わない!!!!


私、ケガしたのよ!!?


何で心配しないのよ!


昨日、あんなことがあったんだから、このケガが誰かに遣られたものだって、思わないの!?


そんなはずないでしょ!?


ツッ君は、誰よりも優しい大空じゃない!



春菜は知らない。


彼がクラスの近状を彼女に伝えていたことを。


彼女が一目見て、自分のことを“異物”と判断したことを。


彼女が彼に、それを伝えたことを。


彼も、彼女と同意見なことも。



ウザイウザイウザイ!


じわじわ布石を並べようと思ったけど、もう良いわ!


笹川京子・・・もう我慢できないっ!



春菜は知らない。


女神(イレギュラー)が京子のすぐそばにいることを。


休み時間、お手洗いに立った京子の後を、春菜が追う。


さすがの男子達もトイレまでついて行かない。


女子達も、所詮は上っ面だけの心配。



「あのぉ、京子ちゃぁん」


「なに?永山さん?」


「昼休みにぃ、屋上に来て欲しいんだけどぉ・・・お話が、あるんだぁ」


「うん!良いよ!」


「絶対、1人で来てねぇ?」


「わかった!じゃあ昼休みね!」




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