苛立ち全開、不機嫌MAXな時野先輩が振り下ろしたパイプ椅子に座り直して、上映は終わった。
プロジェクターが見るも無惨な姿に・・・・・・
パイプ椅子で殴り壊されるのが、永山さんじゃなくて良かった。
さすがに殺害現場に居合わせたくない。
「さて・・・・・・これで事の真相はお分かり頂けたと思います」
永山さんはガタガタと震えている。
マグニチュード2ぐらいの揺れ具合?
「この映像は、嫌な予感がした私が、こういった事態になった時のために、笹川京子に渡していたヘアピン型カメラで撮ったものです。
合成だと思うなら専門家に見せてくれてかまいません」
永山さんは震えるだけで何も言わない。
いや、言えないんだろうけど、無言は肯定とイコールだ。
「今回のこの事件・・・
はっきり言って不愉快だ」
怒りをこうも露わにする璃真さんを見るのは初めてで。
永山さんに明日はあるのか、と真剣に悩む。
・・・・・・いや、悩むまでもなく、明日は無い。
「事件を起こした動機が気に入らない。やり方が気に入らない。
好きな人がいて、その人と仲の良い女友達を排除して、どうにかなる問題でもないでしょう?」
璃真さんはゆっくりと永山さんに近づいて、永山さんの前で膝を折った。
「何でこんなことしたの?こんなことしても、意味無いでしょ?」
永山さんの手を握って、諭すように語りかける璃真さん。
「・・・っるさいっ!あんたにはわかんない!私の気持ちなんか・・・!」
「あ゙あ゙?
良い度胸じゃないの、このクソアマ。
わざわざ璃真があんたのために時間割いてやってるっていうのに・・・」
ボキボキと指を鳴らしながらやってきた時野先輩は口元は笑ってるけど、目が・・・・・・・・・・・・・・・ノーコメントで。
真剣に怖いんですけど。
永山さんも、ひっ・・・と小さく悲鳴を上げた。
「こらこら、落ち着いて」
優しく時野先輩をなだめ、璃真さんはもう一度永山さんに向き直った。
「そうだね、私は知らないよ。あなたと話すのも2回目だし。だから、話して?
何か理由があるなら知りたい、から」
全く、優しいな璃真さんは。
「・・・なんなのよ・・・あんた・・・・・・」
ようやく思考回路が回復・・・いやレベルアップしたらしく、璃真さんの存在に疑問を持ったようだ。
「ああ、改めまして。並盛中学生徒会長の沢田璃真です」
“沢田璃真”
そう言った瞬間、永山さんは面白いくらいの間抜け面を晒してくれた。
シャッターチャンスだなって思ったけど、ここでお腹を抱えて笑いながら永山さんを写メるだけの度胸はさすがに無い。
つーか、笑いこらえるのが大変なんだって、マジで。
「さ・・・わだ・・・?
沢田・・・って・・・・・・
・・・沢田、綱吉の・・・・・・」
ああー
これはもしかして・・・
「私はツナの姉だよ」
あのお馬鹿さんは。