fragola
雲雀夢/少陰夢


Since:2010/08/01
Removal:2013/04/01



光を見出す者


ふわふわ

ゆらゆら

暖かい。


この感覚は―――・・・?










「ぁうーー!」


え!!?


「ぅあうー!?(なっ、何これっ!?)」



小さい手が、眼前に揺れる。


私、赤ちゃんになってるの・・・?

夢・・・じゃない?転生でもしたの?

え、死んだ覚えが無いのだけれど・・・。


あ、でも何か急に胸が苦しくなったような・・・?

病気が悪化したの?

でも何でいきなり赤ちゃんに?

転生ってありなの?

というか、それなら何で前世の記憶が・・・?



「理紗は元気が良いのう」



ふわりと抱き上げられ、優しい目をした老人が目に入った。


“理紗”―――それが私の名前・・・。



「・・・父上。私より先に抱かずとも・・・」



後ろにいた男性が、恨めしそうに老人を見やる。



「おお吉昌。すまん、すまん」



そう言い、父親と思われる男性に私を渡した。


顔を綻ばせるお父さんの後ろに目をやると、青い髪の男性と鳶色の髪の男性、金髪の女性、朱髪の男性、黒髪の少年の姿があった。



「うあー?(あなたたち誰?)」



大家族とか・・・?

・・・全然似てないけど。


その人たちの方へ手を伸ばすと、お父さんとおじいちゃんが驚いたように目を丸くした。



「ほう・・・凄まじい見鬼の才じゃな。隠形した神将が見えるとはのう」



ケンキ・・・?

オンギョウ・・・?


それに“見えるのか”って・・・・・・?


え、普通見えないの?


まさかお化け?


それにしても皆さん端正なお顔立ち・・・・・・じゃなくて。


私はとりあえず、見えると言うことを伝える為にシンショウ?に笑い掛けた。



「ほっほっほ。理紗は、この安倍晴明の後継に成りうる器かもしれんのう」



ええっ!?安倍晴明・・・って・・・

あの安倍晴明?


入院中に色々な本を読んだけど・・・。


確か、平安時代にいた大陰陽師。


ならシンショウって神将のこと?

十二神将?

安倍晴明が配下に置いていた、神様。


というか私、平成の世に生まれたはず・・・なんですけど・・・?


なぜ時代が戻っているのか。



「女にするには惜しい才ですね」



お父さんが困ったような笑顔を浮かべる。


それなら、男として生活しても、別に構わないけど。


そんなことより重要なのは、この身体が健康か否か。


未熟児じゃないみたいだし、前世よりは健康なのかな。



「ふむ。まぁ、その話はまたにしよう。


それより・・・さて。誰に子守をさせるかのう」



ふ、と視線を後ろに向ける晴明。



「・・・よし、青龍。お前に任せるとするか」


「「なっ!?」」



言われた青龍も、理紗を抱いていた吉昌も、驚きの声を上げる。


てっきり、天一や白虎だと思っていた。


福助をつかさどる青龍に、何の不満も無いが、彼の性格を考えると、子守など・・・・・・。


吉昌はそう思った。



「天一や天后、白虎でいいだろう」



任ぜられた青龍自身も、吉昌と同じ考えだ。



「あぅああー?(なんの話?)」



えっと、この蒼いお兄さんが青龍・・・?


状況がわからない理紗は吉昌の腕の中で、ただ首を傾げる。



「まぁ、ふたりとも。理紗を見てみろ。こんなに神将がいるにも関わらず、泣かない所か笑っておるではないか。

つまり、理紗は神気に脅えておらん」



そう言って、晴明は吉昌から理紗を奪って青龍に押し付けた。

あくまで優しく。


青龍は微かに焦燥の色を浮かべ、理紗を抱えて固まっている。



「・・・・・・おい」


「はぁ・・・仕方がないのう。六合や。お前も理紗のお守りに付け」



あまりにも焦る青龍を見て、溜め息をついた晴明は六合に命じた。


六合は目で頷き、理紗を抱いた青龍に近寄った。


青龍は六合に理紗を渡し、大きく息をついて姿を消した。



「まったく。青龍はいじり甲斐があるのう」


(・・・うわぁ・・・・・・)


晴明の発言を聞いた皆がそう思っただろう。


優しそうな目をしていながら、その実なかなか腹黒いようだ。


理紗は晴明への認識を改めた。


青龍さん・・・私のせいでごめんなさい・・・・・・。




- 3 -


前項 | 次項 





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -