ボンゴレの姫in魔法(子世代) 2
「アッサリーニ・リマ!」
Aから順に呼ばれる組分けの儀式。最初に呼ばれたのは、つい先ほど目を付けた集団の中心人物と思われる少女だった。
「あ、一番だ。――なんか新鮮」
くすりと小さく笑って、周囲の友人たちに「行ってくるね」と告げて歩き出した。蜂蜜色の柔らかい髪が、ふわりと靡く。
緊張など一切感じていないという様子で彼女が組分け帽子をかぶると、帽子はすぐに叫んだ。
「グリフィンドール!」
同時にガッツポーズをとる。隣では自分の半身も同じ動作をしていた。ウィーズリー家は全員グリフィンドールなのだ。両親も、上の兄弟たちも。双子には、自分たちはグリフィンドールだという絶対的な自信があった。
「グリフィンドールですか。騒がしいとこらしいですが・・・・・・まあ、リマがいるなら何としてでもそこに入りましょうか」
「あんな群れの多そうなところに・・・・・・まあ、僕がリマと離れるなんて有り得ないけど」
「ああっ、誰よあの金髪野郎!私のリマにベタベタと!――私が組分けされたら、真っ先に片付けてやるわ!」
「リマは僕のだよ。――ま、あの男は確かに片付ける必要があるね。僕のリマに触りすぎ」
「欧米ではあのくらいのスキンシップは当然でしょうけど、僕のリマに触っていい理由にはなりませんね。――さて、どうしてやりましょうか」
「君のじゃないよ。僕のリマだから」
「死ね、雲雀恭弥」
「君が死になよ」
「あんたら二人ともまとまって死ねばいいのに」
「「―――」」
あんたら三人とも、絶対グリフィンドールじゃないわ。スリザリンだわ。殺伐とした言い合いに、双子は確信した。
「雲雀!骸!時野!極限にうるさいぞぉぉ!」
「あんたが一番うるさいわ!ってか時野じゃない!テルセーニュ!――雲雀!あんたちゃんと言い聞かせておきなさいよ!」
突然吠えた短髪の少年に、栗毛の少女が躊躇なく拳を振り下ろした。
「なんで僕が。関係ないよ」
「家隣でしょ!?」
「どうでもいい」
「どうした時野?なぜ怒っているのだ?」
「あんたのせいよ!この馬鹿!ってかテルセーニュだって言ってんでしょ!?」
再び彼女の拳が決まった。まるで堪えた様子がない少年は、余程の石頭らしい。
そうこうしている間にも組分けは滞りなく進み、マクゴナガルが次の生徒の名前を読み上げた。
「ヒバリ・キョウヤ!」
す、と黒髪の少年が進み出た。彼は自信満々といった感じで組分け帽子をかぶる。意外と時間がかかるようで、帽子は数分後に叫んだ。
「スリザリン!」
自分の予想通りの結果だ。椅子に座り帽子をかぶった状態のまま固まった黒髪の少年に、栗毛の少女が「はっ、ざまあ!リマと離れ離れだわ!」と嘲笑ったが、そういう彼女もきっとスリザリンだ。「クフフ、いい気味ですね」と笑うオッドアイの少年もスリザリンに違いない。
固まったままの黒髪の少年に、マクゴナガルが移動するように促すが、少年は動かない。十数秒して、恐ろしくゆっくりとした動作で立ち上がって帽子を椅子に置いた彼は杖を取り出した。―――杖っ!?
「コンフ」「恭弥ぁぁぁっ!」
呪文を唱えようとした彼を遮って、グリフィンドール席から声が上がった。見るとあの蜂蜜色の彼女が立ち上がっている。
「恭弥!杖しまって!そしてそのままスリザリンに!」
「嫌だよ。どうして僕がリマと違う寮なのか納得いかない。この帽子には体にわからせてあげないとね」
そういうところがスリザリン気質だろう。そして気のせいか、帽子がぶるぶると震えているように見える。
「恭弥!寮なんて些末なことだよ!所詮寝る場所だから!授業も他寮と合同らしいし!」
「気に入らない」
「落ち着いて!えっと、えーっと、・・・あ、そうだ。家に帰ったらリボーン君に一試合話つけるから!それで我慢して!」
「・・・・・・仕方ないね」
少し考えた後、杖を下ろした彼はさっさかとスリザリン席に着く。恒例の「君は純血かい?」という質問をする生徒はいなかった。それどころか全員が少し離れた。本能で、彼の危険度のようなものを察知したのだろう。
それを呆然と見ていたマクゴナガルが、ダンブルドアから声をかけられ、はっとしたように次の生徒を呼んだ。
少なくともあと二回(栗毛少女とオッドアイ少年の番で)同じようなことが起きるだろうなぁ、と思いながら、笑いを堪えて組分けされるのを待った。
comment(4)
↑new old↓
←