林檎さん、鏡さん。私に教えて下さい。

 ハロウィンの真夜中。サファイアの家に泊まりにきたルビーは、サファイアの隣で寝息を立てていた。その寝息を確認したサファイアは目を覚まし、寝顔を見てからルビーしっかり布団をかぶせてキッチンに向う。
 薄暗いキッチンをうろついて、小さなかごの中に入っている林檎を手に取り、林檎を持ったまま、脱衣所にある洗面所に向かった。スイッチを押して洗面台の明かりをつける。
 鏡に映る自分を確認。音を立てて唾を飲むと、鏡に背を向けた。うるさく心臓が鼓動を打つが気にしていられない。早くしないと怪しまれてしまう。

「よし」

 気合いを入れて林檎にかじりついた。小さい歯形のついた林檎。口の中で弾ける甘酸っぱい刺激にまぶたを閉じる。しかし、まぶたを閉じている場合ではない。サファイアは後ろを振り返らないように、視線を後ろに向けて鏡を見た。
 そこに映っていたのは……。間違いなくルビーの姿だった。サファイアは瞳を輝かせて林檎にキスを寄せる。

「こんな時間に何してるの?」
「にゃー!」

 油断をしていたところに声をかけられて、サファイアは驚いて飛び跳ねた。目の前に現れたのは寝ていたはずのルビーで、眠たそうにまぶたを擦りながら立っていた。

「お腹空いたの?バレたくないからって、ここで食べなくなっていいじゃないか」

 裸足で床に立っているせいか身震いをして両腕を摩る。

「早く食べちゃいなよ。サファイアがいなくて寒いんだ」
「分かったとよ。ラップばかけて冷蔵庫にしまっておくたい」
「あれ?食べなくていいんだ」

 サファイアの右手を取ってキッチンに向かうルビー。鏡に映った彼は、未来の相手かそれとも…。サファイアは優しく握られた右手を見つめ、穏やかな表情でルビーの後ろ姿を眺めた。

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神山さんが運営する「初恋いちご」でハロウィンフリー小説を頂きました!
シングルベット(私の妄想)で眠るルサを想像するだけで鼻血ものです。
素晴らしい破壊力のルサでしたのでお持ち帰りしちゃいました^^


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