この光景を自分達以外の人間が見たらそれはとても異様かつ日常の光景として映るだろう。

教室内で床に手を付き、頭を下げて土下座するのはゴールド。
ゴールドの特徴的な爆発した前髪は床に擦り付けられ、その姿は見えない。
そんな彼を腕を組んで見下ろすのはクリスタル。

この二人がセットになっているのは周知の事実。
ついでに言うならこの二人にシルバーを追加して三人でセットになっているのも周知の事実。
彼等と彼女を知る者ならば、あまりこの光景は異様な物には映らない。
精精がゴールドが馬鹿をやり、クリスタルを怒らせて土下座して謝っているといったところだろうとおおよその見当を付けたクラスメート達はその二人を素通りしてそれぞれ部活やら帰宅する為に帰路へと向かっている。
逆にゴールド達の事を知らない生徒がこの光景を見たら、ぎょっとして目を剥くだろう。
ちなみにシルバーは彼が姉の様に慕っているブルーのもとに居る為、現在のゴールドとクリスタルの現状は知る筈もない。

長い沈黙の後にクリスタルが口を開く。

「…それで、ゴールド。貴方のその土下座は何?」

放課後、突然呼び止められて、振り返ったら土下座をされた。
最初は驚いたが、直ぐに冷静さを取り戻すと沈黙して予想を立てる。
ゴールドがこういう態度を取るという事は何かをやらかした可能性が高い。
もしくは相当切羽詰まった頼み事か。

「マジで頼む!俺を見捨てないでくれ!」

クリスタルの予想は見事に正解した。

「……はぁ。貴方一体何をやらかしたのよ?」

ズキズキと痛む頭を抑えてクリスタルが溜息をつくと、ゴールドはがばりと立ち上がってクリスタルの肩を掴んだ。

「勘違いすんなよ。俺は今回何もやってねー。で、頼み事なんだけどよ、勉強教えて下さい!」

最後は下手に出て腰を90度屈めてお願いをするゴールド。
ピシリと礼儀正しくお辞儀が出来るゴールドにクリスタルは目を見張った。

「…貴方、そんなに綺麗なお辞儀が出来たのね。意外だわ」

「あーん?何だそりゃ、喧嘩売ってんのか?」

素直に感嘆の声を漏らすがその失礼な内容にゴールドの目が半眼になった。

「そう思うなら別に良いのよ。勉強教えないから」

「すいませんでしたあぁっ!クリスタル先輩勘弁して下さい!後でポッキーつけます!」

くるりとゴールドに背中を向けて帰る準備をする。
すると180度態度を変えたゴールドがクリスタルにしがみついた。

「…もう。仕方ないわね。今度から全教科赤点なんて取らない様に勉強に励むのよ」

溜息混じりにそう言うとゴールドはぱあっと明るい表情になり、瞳を輝かせた。

「流石クリス!愛してるぜー!」

「愛してるは余計。馬鹿言ってないで、さっさと行くわよ」

「了解です!クリスタル先生!」

「調子に乗らないの」

呆れた様子のクリスタルと喜び勇むゴールドはゴールドの家へと直行した。




(だから何度言ったら分かるの!)
(分かんねーよ!何でこうなるんだよ!)
(ここはこの数式を当て嵌めるの!)
(…こうか?)
(違ーう!)

後日、クリスタルの懸命な努力により、ゴールドは赤点を免れた。

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大変お待たせ致しました。

一万ヒットのリクエスト募集で応募して下さった小野 葵さんに捧げます。

小野さんリクエストのゴークリで学パロですが、この様な感じで大丈夫でしょうか?
私の書くゴークリは甘くならないのが残念ですよね…。
リクエストを頂いた時にパッと思い付いたのが、赤点を回避しようとするゴークリでした。
ゴールドは全教科赤点という奇跡を起こしてくれる。
彼ならやってくれるさ!という意気込みを込めてみました(笑)
書き直して欲しい箇所がありましたら、ご気軽にお申しつけ下さいませ^^
書き直しを致します。

それでは一万ヒット企画にご参加下さり、ありがとうございました^∀^


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