最近俺は自分がおかしいと感じる事がある。


クリスが俺以外の野郎と話してたり、クリスが俺以外の奴に笑顔を見せたりしてるのを見ると、最近無性に怒りが沸いてくるんだ。

よく分かんねーけど・・・


クリスが俺以外の奴と何かをする度に、心が穏やかでなくなっちまう・・・。


シルバーにこの事を言ったら、少々(いや、かなり)呆れた顔で溜息を吐かれた。


ブルー先輩やグリーン先輩も似たような感じだったな・・・。

違う所と言えば、ブルー先輩がニヤニヤ笑いながら「早く気づきなさいよ」と言っていた事位だろう。


レッド先輩やイエロー先輩に至っては、ただ俺に笑顔で「頑張れ」と言ってきた。


何をどう頑張ればいいのか良く分かんなかったけど、黙って手を振られたから、仕方なくその場から去った。



結局の所、誰一人として俺の悩みに応えてくれなかったわけだ。

皆してこの仕打ちは酷いと思う。


そーいや、一つだけブルー先輩が俺に質問をしてきたな・・・。


−もしもクリスが、別の男・・・そうねぇ、シルバーと付き合うことになったら・・・アンタどうする?



正直、意味が分からなかった。


クリスが誰と付き合おうが、俺には関係の無い事。

第一、あんな堅物くそまじめな奴に彼氏なんて出来るわけねぇっつーの・・・

でもスタイル良いし、可愛いし、優しい所も・・・って何考えてんだよっ俺!!



こんな事を、グルグルと頭の中で考えながら適当に歩いていると、少し離れた所に、俺を悩ませている張本人が居る。

向こうも俺に気づいたようで、声を掛けてきた。

「あら、ゴールドじゃない」

「よぉ、クリス」

この声に俺の名前を呼ばれるのは、母さんよりも、シルバーよりも・・・他の誰よりも凄く心地がいい。


チラリとクリスを見ると、仕事をしていたのだろうか、いつもと同じスパッツの姿だ。


「また捕獲でもしてたのか?」

「えぇ、今回は沢山捕獲出来たのよ」


そう言ってクリスは、持っていたカバンの中身を俺に見せる。

確かにカバンの中には、沢山のモンスターボールが入っていた。


「おー、流石だな。捕獲専門家!!」

「もぅ、褒めても何も出ないわよ?これからポケモンセンターに行って、これを博士の所に転送しようと思ってるの」

貴方も来る?と聞かれ、特にする事もねぇし、何より暇だったから着いて行くことにした。

「暇だし、俺も行く」

「言うと思ったわ。転送が終わったら、折角だし、どこか寄って行きましょう」


珍しくクリスが笑ってるもんだから、俺は不覚にもドキッとしちまった。

しかし、俺がコイツにときめくなんて事あるわけが無いと、頭を横にブンブン振る。

そんな俺の姿をキョトンとした顔で見るクリスに気づき、咳払いを一つしてクリスの方を見た。


「ほら、さっさと行こうぜ」

「えぇ、そうね」


肩を並べて歩く俺たち。

他愛も無い話で盛り上がりながら、ポケモンセンターへと向かう。


その間クリスは、殆ど笑顔だった。



ブルー先輩の質問の答えは、まだイマイチ俺の中で答えが出ねぇけど、でも・・・


「何よ、ゴールド」

「何でもねーよ、クリス!!」



俺はコイツの・・・

クリスの笑顔が俺だけに向けられればいいと思う。

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小野 葵さんが管理なさる『The Best Position』の一周年記念企画に参加し、頂いた物です。

素晴らすぎますね!
ゴールドが無自覚過ぎて悶えました。
無自覚なゴールドのクリスに対する想いが優しいです!
思わずこちらがニヤニヤする程に(笑)

先輩図鑑所有者の反応も楽しみ所の一つです。
こんな素敵な作品を頂ける咲は果報者ですね^^

小野さん、リクエストに応えて頂き、ありがとうございましたo(^-^)o



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