ドタバタと足音を立てるのはパールとダイヤモンド。

「ほら、急げ!ダイヤ!早く!」

先を走るパールを追い掛けてダイヤモンドもドタバタと走る。

「ちょっと待ってよー!パール〜」

勢い良く玄関の扉を開け、リビングへと突っ走ったパールは脇目も振らずにテレビの電源を付けた。

「良かった!間に合った!」

お行儀良くパールの家の玄関の扉とリビングの扉を閉めて、勝手の知る幼なじみの家のキッチンに向かったダイヤモンドはコップを二つ取り出し、烏龍茶のペットボトルを冷蔵庫から持ってきてソファーに座り、テレビの画面へとかじりつくパールの目の前のテーブルへと烏龍茶を注いだコップを置いた。

「楽しみだねー」

そして自分もパールの隣へと座り、ものまね四天王の一人の登場を待つ。
ダイヤモンドが烏龍茶で喉を潤し、全力疾走をした為に出来た汗が引く頃にその四天王の一人が姿を表した。

「待ってました!」

パールが輝く笑顔で画面に映る中年の男を見詰める。
男は挨拶もそこそこに早速顔芸を始めていく。
その顔芸の凄まじい事。
たった一人の人間がこうも様々な表情を意図的に作る事が出来るのか。
驚愕しながらもその洗練された技術に魅せられて笑いが零れる。
しかし、その笑い声は中年の男が放った一言により、仰天へと変わった。

「10人メドレーかよ!しかも早送り!?」

早業で送られる数々の芸能人の特徴を捉えたその顔の動きにダイヤモンドから溜息が零れた。

「顔芸凄いな〜」

「この動き真似出来ない…!」

顔だけでなく体を使った動きにパールが唸る。
そしてあっという間にものまね四天王のパフォーマンスは終了した。
今まで圧倒されて息を詰め、時に爆笑していたパールとダイヤモンドはお互いに顔を見合わせた。

「やっぱり凄いなー。あの人は!」

「ね〜。凄い面白かったー」

「オレ達は青空ピッピとプリンの巨匠に憧れて、あの人達を目指してるけど、でも、ものまね四天王の人みたいに沢山の人を笑わせられる様になりたいな!」

「うん!もっと、一発芸も増やしたいね!オイラは何ともありましぇ〜んしかないから」

モンスターボールを両目に乗せてポーズをするダイヤモンドに嬉しそうに微笑んで、パールは両目を熱い炎で滾らせた。
メラメラと炎が爆ぜる音が聞こえてきそうだ。

「だったら早速漫才だ!特訓だ!練習だ!」

「うん!オイラ頑張るよ〜」

パールの叫びとダイヤモンドののんびりとした声がテレビから聞こえてくる影絵のパフォーマンスに流れてくる音楽を相殺してリビングに響いた。

後日、プラチナの目の前ではいつも以上に漫才に打ち込むパールとダイヤモンドが見られたとか。

**************
パールとダイヤはいつだって漫才に真剣で、漫画を見ると漫才やお笑いに対する熱意が見られるのはパールだけど、お笑いや漫才を大好きだと思っているのはダイヤだと思う。
結論。
パールとダイヤはお笑いを本当に愛しているんだ。
というお話。


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