青空と同化してしまいそうな大海原。その中にぽつりと浮かんだ大きな孤島に一隻の海賊船が停船していた。

「Beautiful!なんて素敵な島なんだ!」

 船長である証の帽子をかぶった少年が瞳を輝かせて島の入口を眺めた。少年のいう通り、スカイブルーの海に、色とりどりの草花が咲いていて南の島のようだ。

「ルビー、ここにお宝はあるかな?」
「どうだろうねエメラルド」

 ルビーと呼ばれた船長と、エメラルドと呼ばれた三日月型の髪型が特徴の少年が、並んで木々が生い茂る島の奥を見る。こんなに綺麗な自然が残っているということは、誰の手も入っていないということ。ルビーはエメラルドと仲間の乗組員に声をかけ、島の探索に向かうことにした。
 長剣で行く手を遮る枝や、長く伸びるツタを切って進む。足を進めるにつれて騒がしくなる鳥たちの鳴き声に異変を感じるようになった。

「誰かに見られてる」

 先頭を歩くルビーが後続のエメラルドに告げる。辺りを警戒するように歩みをとめた。そのときだった。ヒュッと風を切って何かが横を通過する。近くの木に突き刺さる矢が刺さった振動で揺れていた。

「気をつけろ!」
「ルビー!」
「!?」

 ルビーの警戒した声と同時にエメラルドが焦りの声を上げて名を叫んだ。
 鉄と鉄の擦り合う音が鼓膜を揺らす。ルビーは何者かの攻撃を長剣で間一髪受け止めていた。

「何者だ!?」

 力いっぱい押し返し、敵との距離を取る。後退した敵をまじまじと確認すると、なんと、葉っぱをまとった少女だった。その場にいた全員が驚きの声を漏らした。

「女ー?」
「Wao!有り得ない!」
「この島から出て行くったい!」
「うわっ!」

 石で出来た短剣を振り回す少女。長剣で受け流し、少女の出方を伺うルビー。短剣を右に振った隙を見て懐に潜り込み、ごめんと小さく呟くと左手で握りこぶしを作り、一気に鳩尾を殴った。
 気絶をした少女は力無くルビーの肩に体を預けた。とりあえず、一時の争いは避けられた。一同は胸を一撫でし、一度船に戻ることにした。
 船に戻ったルビーたちは、船の整備などをして一夜をこの島で過ごすことにしたらしく、ルビーは船長室で少女が目覚めるのを待った。自分のベッドに寝かせた少女は先ほどとは違い、とても可愛らしい顔立ちでルビーは少し頬を赤らめた。


「――んん」
「あ、気がついた?」
「!」

 ルビーの顔を見るなり量手足をつけて犬のように四つん這いで威嚇していた。まるで縄張りを守る犬だ。ルビーは苦笑いをする。

「ボクは君に危害を加えたりしないよ。ボクの名前はルビー。君の名前は?」
「あんたみたいな奴に教える必要なか」
「酷いなあ。君には事情があって守らなきゃいけないものがあるんだろう?色々教えてよ」

 優しく微笑んでくるルビーに警戒をしたが、悪いことはしないだろうと女の子は犬のように座って話し始めた。

「あたしの名前はサファイア。ここの動物たち、自然ば守っとるったい」

 サファイアと名乗った女の子は島について話してくれた。この島の奥には金や宝石などが眠る遺跡があるらしいが、そこは島の動物たちの隠れ家らしく人間の侵入を防ぎたいようだ。
 話を聞いたルビーは島の探索を断念することにして、しばらく、この島に停泊することに決めた。





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