jewel tear


目の前に広がっているのは紅い宝石。
徐々に近づいてくるその紅に、サファイアは不思議そうに首を傾げた。

「ルビー?」
「…サファイアが、悪いんだよ」

静かな声でそう告げたルビーの瞳は、サファイアを映しているのにどこを見ているのか分からない。
無表情なのに、どこか寂しげにも、苦しそうにも見えて、堪らずサファイアはルビーの名を呼んだ。

「ル、」

ルビーの名前を呼び終わらない内に、藍色の瞳を持つサファイアの声は紅い、紅い彼の中に吸い込まれていった。
呑み込まれる寸前にルビーの紅い瞳が揺れていたのをサファイアは確かに見た。



どうして、逃げないの?
あんたはなして、そげに泣きそうになっとると?


2011/04/04 21:18(PKSP)

賭け事


※ポケスペのブラックとホワイトの性格が分からないので、ここにあるブラックとホワイトは別物として考えて下さい。ゲームとも違います。二人は双子の設定です。


ぱちり、ぱちりと少しだけ高い音が室内を満たしていた。
ホワイトとブラックの部屋には当然その部屋の主達が居る。
テーブルを挟んで向かい合う様に座ったブラックとホワイトはいつも被っている帽子を床に置いて、テーブルの上にあるオセロ盤を睨んでいた。
ずっと沈黙を守っていたホワイトが漸う口を開く。

「ふっ…この平行線もこれで終わりね。覚悟なさい!ブラック!」

口の端を吊り上げ、高らかに宣言したホワイトは掲げたオセロをオセロ盤にぱちりと置いた。

「あああっ!」

ブラックが悲鳴を上げたが、時既に遅し。
ホワイトが置いた白いオセロから黒いオセロがどんどんと白に変えられていく。
ブラックは呆然とその様を見守る事しか出来なかった。

「さぁ、どうするのかしら?ブラック。貴方のブラックシティは私のホワイトフォレストに変わっていってるわよ?」

悠然と微笑むホワイトは己の勝利を確信している。

「うぅっ…。…悔しいけど僕の負けだよ」

ホワイトがテーブルに足を掛けて立ち上がり、がくりと肩を落としたブラックの声を掻き消して叫んだ。

「やったあ!これでヒウンシティのアイスはブラックの奢りね!」

「はぁ…。今月のお小遣少ないのに…」

高く結ばれたポニーテールを揺らし、嬉しそうに両手をガッツポーズへと変えるホワイトと涙を浮かべ、自分の財布の中身を覗くブラックを遊びに来ていたベルとチェレンは交互に見つめた。

「ねぇ、チェレン。あたし、フエンタウンの温泉か、ライモンシティの遊園地が良いな」

「…まさかとは思うけど、ベル。もしかして君も賭けをしようなんて言い出すんじゃないだろうね?」

「ふふふ。ご名ー答っ!丁度ここに将棋もある事だし。将棋が嫌ならチェスもあるよ?」

どこから取り出したのか、将棋盤とチェス盤を持って、ベルは笑顔で答えた。
眉間にシワを寄せて、チェレンは首を横に振るとベルの誘いを断る。

「嫌だよ。面倒臭い。賭け事がしたいならホワイトとやれば良いじゃないか」

「…あたしが負けたらチェレンに大量の書物を奢るか、ハクタイシティの博物館に付き合ってあげても良いよ?ついでに言うならポケモンバトルもつけてあげる」

ベルがそう言うとチェレンの動きが一瞬止まった。
そのまま一分が過ぎ、二分が過ぎようとした頃。
チェレンは重い溜息を吐いて仕方ないなと零した。
チェレンが自分に付き合ってくれると理解したベルは嬉しそうに微笑んだ。

(ふふっ…。チェレン、大好き!)
(…それを言えば何でも済むって訳じゃないからね?)


2011/03/27 21:17(PKMN)

ポケスペカプで雛祭り


シンオウの場合

嬢「…あのですね。パール、ダイヤモンド」

真「何?お嬢さん」

剛「なぁに〜?お嬢様ー」

嬢「どうして今日に限って町が賑わっているのですか?」

真・剛「……」←顔を見合わせて

真「もしかしてお嬢さん…」

剛「雛祭り知らないの〜?」

嬢「雛祭り、とは…?」

真「なぁ、ダイヤ…」

剛「そうだね。パール」

嬢「あの…?」

真「ああ、ごめん。お嬢さん。えーと雛祭りっていうのは…簡単にいうと女の子の為の日、みたいなものかな…?」

嬢「女の子の為の日、ですか?」

剛「そうだよ〜。だからさ、お嬢様」

真「今日はオレ達にいっぱい我が儘言って良いからさ!」

剛「エスコートするよ?お嬢様」

真「先ずは漫才からだ!」

剛「それじゃあいつもと変わらないよ〜」

嬢「…クス」

真・剛「…(笑った…)」

嬢「二人供、ありがとうございます」

剛「どういたしまして〜」

真「それじゃ、お嬢さん」

真・剛「行こう! /行こうよ〜」

嬢「はい!」

三人で桃色のお祭りを楽しみましょう!


2011/03/03 21:16(PKSP)

ポケスペカプで雛祭り


ルサの場合

藍「…ハァ」

紅「どうしたのさ?溜息なんか吐いて。悩み事かい?」

藍「桃の節句が近かやろ?」

紅「うん。そうだね」

藍「実はあたし、お雛様の人形持ってなかとやの」

紅「だから溜息吐いてたの?」

藍「うん」

紅「心配しなくても大丈夫だよ。サファイア」

藍「どげんこつ?」

紅「当日になってみれば分かるよ」

藍「?」

当日。

藍「もしもし」

紅「あ、サファイア?今からボクの家に来てくれない?」

藍「分かったったい。待ってて欲しか」

ピンポーン

紅「いらっしゃい」

藍「ルビー、あたしに何の用と?」

紅「良いから、良いから。さ、中に入って。キミに見せたい物があるんだ」

藍「いきなり何ね?」

紅「ふふ。見たら驚くと思うよ。多分ね」

藍「?」

紅「サファイア、キミに見せたかったのはコレだよ!」

藍「!!」

藍「ルビー、コレっ…!」

紅「たいして時間なかったから小さめの物しか作れなかったけど…」

藍「そぎゃんこつなかっ…あたし、嬉しかっ!」

紅「来年はちゃんとした物作るからさ、今年はこのケーキで我慢してよ」

藍「うんっ!ありがとう!一生、大事にするとよ!」

紅「…うん。食べようか」

(ルビー、こんお雛様のケーキうまかっ!)
(喜んでもらえて何よりだよ)


2011/03/03 21:15(PKSP)

ポケスペカプで雛祭り


ゴークリの場合

金「よぉ!クリス!これやるよ」

水晶「ちょっ…いきなりやって来て何よコレ!」

金「あー?ひなあられに決まってんだろ!」

水晶「そんなの見れば解るわよ!わたしが言っているのはそうじゃなくって…!」

金「何だよ?このオレが色々な地方のひなあられを買って来てやったと言うのに文句か?」

水晶「頼んでないわよ!」

金「じゃあ、返」

水晶「…ゴールド」

金「…何だよ?」

水晶「お帰り。それから不本意だけどひなあられ、ありがとう」

金「…おう」


2011/03/03 21:13(PKSP)

ポケスペカプで雛祭り


レイエの場合

赤「イエロー!」

黄「レッドさん!」

赤「ちょっと付き合ってくれないか?」

黄「どこにですか?」

赤「トキワの森!」

黄「どうしてまた…」

赤「良いから!」

黄「わぁっ!」←イエロー、レッドに連れ去られる。

黄「はぁっ…れ、レッドさん…何なんですか?突然…」

赤「イエロー、見ろよ!」

黄「え…わぁっ!」

黄「レッドさん…っ、これっ…!」

赤「へへ…この間偶然、見付けたんだ。絶景だろ?」

黄「はいっ!ありがとうございますっ!」

※会話文では分かりづらいので補足という名のまとめを。
たまたま見付けた桃の花が咲いている絶景をレッドがイエローに見せに行く話。
…雛祭り関係ねぇっ!


2011/03/03 21:10(PKSP)

ポケスペカプで雛祭り


グリブルの場合。

青「グリーン!あんたのせいで行き遅れたわ!責任取ってあたしと結婚してね!」

緑「…何故そうなる?」

青「あら?以外と冷静なのね。つまらないわ。もっと慌ててくれたって良いのに」

緑「からかう為に来たのか?」

青「やぁね、違うわよ。求婚しに来たの」

緑「意味が分からん」

青「…グリーン、今日が何の日か知らないの?」

緑「桃の節句、だろう?」

青「それとあたしの求婚と何の関係があるのかって言いた気な顔ね。良いわ。教えてあげる」

青「雛祭りって女の子の為の日よね?」

緑「…ああ」

青「雛人形や雛壇を飾るのはその家庭の女の子が健やかに成長する事を祈っているから。いわば、願掛けみたいなものね」

緑「…何が言いたいんだ?」

青「肝心なのはここからよ。その雛人形や雛壇を当日の夜までに片付けなければ、その家の女の子は嫁に行き遅れるのよ」

緑「まさか」

青「そう!そのまさか。あんたに用事があってグリーンを待ってたら片付ける事が出来なかったのよ!」

青「だ・か・ら責任取ってあたしと結婚しなさい!」

緑「…ブルー。本当にその迷信を信じているのか?」

青「信じてるって言ったらどうするの?」

緑「早くその冗談をやめてやれ。シルバーが本気にして、天井から殺気を放って睨み付けてくる」

青「あら?シルバー。久しぶり!元気にしてた?」

銀「久しぶり、姉さん。オレは元気だよ。姉さんも元気そうで良かった」

緑「お前等、帰れ」


2011/03/02 21:08(PKSP)

就職したい!


「も…もう駄目ったい…」

ガクリと肩を落としたサファイアは眉間にシワを寄せて呟いた。
後ろにあるベッドにボスンとダイブすると、そこら辺に持っていたシャーペンを放り投げる。

「こら、サファイア。シャーペン投げないの。危ないでしょ?」

まったく、この娘は。
いくら、ボクの部屋だからって少し自由すぎやしないだろうか。
気を使う必要が無いから彼女はありのままの姿でいるのだろうけど、もう少しこう…ボクに対する配慮とかそれらしきものを見せてくれたって良いのに。
あ、待って。
やっぱり他人行儀に接っせられるのは嫌だからこのままでいいや。
それに、サファイアのこの態度がボクにだけ向けられるものならそれも悪くないと思う。
うん。要はどんなことも前向きに考えていけば良いんだから。
ポジティブシンキング。ポジティブシンキング。

ルビーは苦笑しながら、サファイアによって床に投げ出されたシャーペンを拾うとほら、もう少しだからめげないでと勉強するように促した。

「うぅ〜。いやったい」

枕に顔を押し付けて、嫌々と首を左右に振るとサファイアはルビーに背を向けて丸まった。

「でも、やらないと。この課題、明日提出なんでしょ?」

情報処理と書かれたワークを持ってサファイアに見せる。

「……」

サファイアはむくりと起き上がると、顔に押し付けていた枕を抱え込んだ。

「なして、あげに意味の分からん記号がずらずらと並んどるん?あれじゃ、まるで暗号ったい」

漸く口を開いたと思ったら、ムスリとふて腐れた顔をし、眉間のシワを更に深くして文句を言う。

「じゃあ、どうして商業科の学校なんて選んだのさ?君はパソコンとか機械とかこういった類のものは苦手だったよね?」

「……だって、就職するには専門的な資格とか持っといた方が有利やと思って」

ああ、だからか。
サファイアの家は父子家庭だ。
オダマキ博士は早くにお母さんを亡くしてしまったサファイアを男手一つで育ててきた。
そんなオダマキ博士を就職して働く自分の姿を見せて早く安心させたいんだろう。

「…君の気持ちは良く分かったよ。博士の為にも就職したいんだよね?」

そう問いかけるとこくり、と頷く。

「どうしても資格が欲しいんだよね?」

また、こくり。

「じゃあ、頑張ろう?ボクも協力するから」

ルビーが優しく笑ってサファイアの頭を撫でると、サファイアはのろのろと顔を上げて、ベッドから下りると勉強机へと向かった。
鬱々とした気持ちから浮上してきたサファイアは再びシャーペンを握ると、教科書を睨みながらまたうんうんと悩むのだった。


2011/02/25 21:07(PKSP)

Let's English


紅「じゃあ、サファイア。次、これ読んでみて」

藍「い、イー…り…リケ…?る…る…ル?」

藍「うー…読めんち…」

紅「ふりがなふってあげるよ。これなら読めるでしょ?」

藍「すまんち…」

紅「良いから早く読んで」

藍「分かったったい。あい、らいく、るびー」

藍「…?なして、ルビーの名前が出とると?ルビー。これ、どげん意味とか?」

紅「それはね、私はルビーの事が好きですって意味なんだ」

藍「!!」

藍「な、なんば言わすっとね!!」

紅「勉強したいって言い出したのは君じゃないか」

藍「ぐっ…そうやけど、こげなこつが言いたい訳じゃなか!」

紅「じゃあ、どういう事が言いたいのさ?それとも他に何かある訳?」

藍「別に何もなか!」

紅「何もない訳ないだろう。大体おかし過ぎるよ。勉強が嫌いな君が勉強したい、だなんて」

藍「せからしか!あたしはただ、ルビーみたいに…」

紅「ボクみたいに?」

藍「やっぱり何でもなか!」

紅「え、言ってよ。気になるなぁ」

藍「いやったい!」

紅「えー、気になるから言って」

藍「せからしか!」

金「…なぁ、エメラルド」

翠「何ですか?ゴールドさん」

金「あいつら、何やってんだ?」

翠「英語の勉強してるみたいですね」

金・翠『…あのバカップル爆発すれば良いのに』


2011/02/23 21:01(PKSP)

とある少年少女の悩み


すき。
その一言が言えたなら。

例えば彼の紅い瞳や、薄い唇。
骨張った細い手や筋肉質な腕だとか。
捻くれていて分かりづらいけど本当は凄く優しいところや、自分のポケモンの毛づくろいをしている時の優しい顔もコンテストの時の自信に溢れた、けれど楽しそうな顔だって本当は全部、全部好き。

例えば彼女の藍色の瞳や太陽の匂いのする亜麻色の髪だとか。
柔らかくて暖かい小さな手や、触れたら折れてしまいそうな肩や腕も。
野蛮人だけど自然が好きで可愛いものが好きでそういった好きなものを見付けた時の輝いた顔や、ポケモンバトルをしている時の生き生きとした表情も正義感に溢れた真っ直ぐな眼差しも何もかもが、好きだ。好きなんだ。

なのに、どうして。

なしてあん人の前やと素直になれないんやろか!

どうして彼女の前だと意地を張ってしまうのか!


2011/02/19 00:17(PKSP)


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